認知症や障害などにより十分な判断能力を持たない人に対し、後見人を選任することで本人の財産管理や身上監護などをサポートすることがあります。これを成年後見制度といいますが、成年後見人はどのような基準で選ばれるのでしょうか。

【この記事の要点】

  • 親族の成年後見人選任が適切ではないと判断される理由
  • 親族が成年後見人に選任されるための重要ポイント
  • 親族を成年後見人に選ぶメリットとデメリット
  • 専門家を成年後見人に選ぶメリットとデメリット

ここでは、成年後見人を選ぶ基準について説明していきます。本人の親族が後見人になる場合と専門家がなる場合に分かれますので、選択の条件について理解しておくといいでしょう。

 

親族は成年後見人になることができるか

家庭裁判所に対して成年後見人申立てを行うと、裁判官による審理や後見人候補者との面接、場合により本人との面接などを経て審判がくだされ、適切な人物が成年後見人として選任されます。親族を成年後見人としたい場合、後見人候補者は「後見人等候補者事情説明書」に自ら必要事項を記入します。これらの書類をもって親族が成年後見人に指定されるとは限りませんが、考慮の材料になるといわれているようです

 

ただし、家庭裁判所による調査の結果、候補者を成年後見人に選任するのは不相当と判断された場合、裁判所により別の適任者が選任されることになります。

 

親族の選任が不相当とされる理由

親族が成年後見人になることができない理由があるとしたら、それはどういったものなのでしょうか。考えうる判断材料について整理してみましょう。

 

候補者が適切な人物ではないと判断された場合

申立時に親族を成年後見人等候補者としたが、申立書や後見人等候補者事情説明書の内容を鑑みて裁判所が不相当と判断する可能性があります。たとえば候補者本人に関する以下の情報が重要になってくるようです。

 

  • 被後見人に対する暴力や虐待などがあった
  • 被後見人との間に金銭的トラブルなどがあった
  • 候補者の家族構成や経歴、収入など各種情報について問題ありと判断した
  • 被後見人と候補者の居住地が離れすぎている など

 

親族間の争いが疑われる場合

親族のうちいずれかの人物が候補者の選任に反対していたり、意見書あるいは裁判所による意見照会への対応を行わなかったりした場合などは、親族間になんらかの問題・争いの可能性があると判断されることがあるようです

 

このようなケースでは、候補者を選任せず弁護士や司法書士を後見人として指定することになるでしょう。

 

本人(被後見人)の状況に問題がある場合

被後見人本人に法的な問題や生活面でのハードル、財産管理の問題などがある場合は、専門的な知識を有する弁護士や司法書士、社会福祉士などを成年後見人として選任することがあるようです。

 

家庭裁判所による判断基準とは

どのような人物であれば親族が成年後見人に選ばれるのか、その判断基準は明確にされていませんが、以下のような可能性を考えることができるでしょう。

 

成年後見人になれない人物の条件

法律では、成年後見人になることができない人物の条件を定めています。これを欠格事由といい、以下の項目が該当する場合は成年後見人になることができません。

 

  1. 未成年者
  2. 過去に成年後見人などを解任されたことのある人
  3. 破産者で復権していない人
  4. 被後見人に対して過去に訴訟を起こしたことがある人(またその配偶者や親子)
  5. 行方不明の人

 

成年後見人選任のための判断基準

先に述べたとおり、親族が成年後見人となるためには、被後見人との間にトラブル経歴がないことや被後見人本人について適性や公平性があることなど、さまざまなポイントをクリアしていなければなりません。たとえば、以下に挙げる項目は特に重要視されるようです。

 

被後見人との関係性が良好であること

被後見人の権利と生活を守るためには、成年後見人との間に十分な信頼関係があることが重要です。親族を成年後見人としたい場合、日頃から被後見人の介護をしたり世話をしたりしている者は評価の対象となるでしょう。

 

被後見人の財産を適切に管理できること

成年後見人は被後見人の財産管理を適切に行わなければなりません。被後見人が多額の財産を有しているほど、高い管理能力が必要となります。

 

被後見人の身上監護義務を果たせること

適切な療養看護や生活に必要な契約の締結、支払いなど、被後見人の権利や生活を守るためには強い意志と十分な誠意を備え、護義務を果たせる力が求められるでしょう。

 

公平で中立な立場を維持できること

複数の親族のなかから成年後見人を決めたい場合、候補者となる人物が公平に業務を行うことができるかどうかも重要です。たとえば親族間に争いなどがある場合、公平かつ中立な立場の維持が困難と判断され、家庭裁判所は親族ではなく専門家を成年後見人に選任する可能性があります。

 

候補者の年齢や生活状況などから長期的に安定した業務を行えること

成年後見人になるからには、被後見人を長きにわたり保護していく必要があります。このため、後見人候補者に年齢的な余裕があること、健康状態に問題がないことが大切になってきます。また、候補者自身の生活にゆとりがあり安定した後見事務を実現できるかどうかも重要です。

 

成年後見人になるメリットとデメリット

成年後見制度では、親族または専門家が成年後見人として選任されることになりますが、親族と専門家では成年後見人としてどのような違いが出てくるのでしょうか。ここでは、親族が成年後見人になるメリットとデメリット、専門家が成年後見人になるメリットとデメリットについて整理していきます

 

親族が成年後見人になった場合

親族が成年後見人になった場合のメリットとデメリットについてみていきましょう。

 

親族が成年後見人になるメリット

被後見人の心情を考えれば、面識のない第三者より親族の方に安心を感じることでしょう。親族である候補者の適性が十分であれば、財産管理や身上監護を任せる相手として望ましいといえます。

 

また、成年後見人に対し、原則として報酬が発生しない点もメリットの1つです。しかし、当該親族が後見事務という重要な仕事を担うことを考えれば、被後見人の負担にならない程度の報酬の付与を家庭裁判所に申立ててもいいかもしれません。

 

親族が成年後見人になるデメリット

被後見人と成年後見人との距離感が非常に近いため、親族である成年後見人の気が緩み財産の使い込みに繋がるリスクも存在します。成年後見人となる人物の人間性や暮らしぶりなど、適性をしっかり判断することが非常に重要です。

 

専門家が成年後見人になった場合

専門家が成年後見人になった場合のメリットとデメリットについてみていきましょう。

 

専門家が成年後見人になるメリット

弁護士や司法書士などの専門家は、成年後見人としての役目を仕事として行いますので、財産の使い込みリスクを低減させることができるでしょう。また、成年後見人としての後見事務内容を熟知しているため安心して任せられます。

 

専門家が成年後見人になるデメリット

弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人となる場合、その専門家に対する報酬が発生します。

 

まとめ

被後見人の心情を考えれば、自分をよく知る親族が成年後見人となった方が安心かもしれません。しかし、成年後見人は被後見人の財産管理を行ったり身上監護義務を負ったりと、非常に重い責任を担いますので、成年後見人となる親族の負担も心配されます。専門家に依頼すれば報酬が発生しますが、その分、親族に過度のストレスをかけることがありません。

 

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