認知症による口座凍結や財産管理の混乱を防ぎたいなら、「財産管理委任契約(今できる対策)」と「任意後見契約(将来の備え)」をセットで準備することが最も安全で確実な方法です。
財産管理委任契約は「今からすぐに使える」一方、任意後見は「認知症が進んだ後に効力を発する」ため、2つを組み合わせることで、元気な時から認知症発症後まで切れ目なく財産管理を任せられます。
認知症のリスクと財産管理が重要な理由
高齢になると、
- 認知症で判断能力が低下する
- 口座凍結により預貯金が使えなくなる
- 特殊詐欺・悪質商法に巻き込まれる
- 施設入所や入退院の手続きができない
といったリスクが現実のものとなります。このため、生前のうちに「財産管理を誰に任せるか」を決めておくことが不可欠です。
高齢者の財産管理の主要な方法
高齢者のための財産管理は、主に以下の4つの方法で行われることが多いといえます。
- 成年後見制度(判断能力が低下してから利用)
- 任意後見契約(判断能力があるうちに契約→将来発効)
- 財産管理等委任契約(判断能力があるうちは今すぐ使える)
- 家族信託(財産の所有と管理を分ける仕組み)
このうち、認知症になる前から後までを一貫してカバーできるのが、【財産管理委任契約+任意後見契約の併用(移行型)】です。
【今の対策】財産管理等委任契約とは
財産管理委任契約とは、本人がまだ判断能力のあるうちに、信頼できる人物へ財産管理を包括的に任せる契約です。
- 預貯金の出し入れ
- 公共料金、税金、入院費、施設費の支払い
- 手続き代行(役所・金融機関など)
- 一般事務(書類受取・郵便管理など)
などを代理人が行えるようになります。
財産管理委任契約の特徴
財産管理委任契約の特徴として、本人が元気な時点から使える仕組みであることや、委任する財産の囲を自由に定められる点、任意後見のような公的監督がない点が挙げられます。なお、財産管理委任契約を公正証書で作成すれば、高い証拠力を持たせることもできます。
財産管理委任契約のメリット
財産管理委任契約を利用するうえで得られるメリットについて考えてみましょう。財産管理と療養看護の目的に沿った活用で、委任者(高齢者)をしっかりとサポートする仕組みを作ることができるはずです。
判断能力があっても利用できる
「判断能力に問題がないが身体が不自由」という状況でも、銀行の手続きや支払いなどについて代理人が対応可能です。
手続きごとに委任状を作る必要がない
公正証書の委任契約書があれば、包括的な代理権を証明できます。
入院・施設入所手続きをスムーズに進められる
日常の金銭管理も任せられるため、生活面の不安が軽減されます。本人が入院あるいは施設入所することになったとしても、財産管理委任契約の「療養看護」という目的に適うため、入院・入所手続きやそれに伴う支払などを任せることができます。
財産管理委任契約のデメリット
財産管理委任契約の仕組みやその性質上、デメリットとなる事柄が発生することがあります。
監督機関がない
受任者を厳格に監督する人がいないため、信頼できる人物を選ぶ必要があります。
本人が詐欺被害に遭っても取消しが難しい
受任者には法律行為の取消権がないため、重大なトラブルを防ぎきれないケースが出てくる可能性も否定できません。
金融機関で対応が厳格な場合も
財産管理委任契約書があっても、銀行が個別に本人確認を要求することがあるようです。
【認知症への備え】任意後見契約とは
任意後見契約は、本人の判断能力が低下した後に、後見人が財産管理・介護手続きなどを行う制度です。任意後見を開始させるには、家庭裁判所が任意後見監督人を選任する必要があります。
任意後見の特徴
任意後見の発効は「認知症などで判断能力が低下した時点」になり、任意後見監督人がつくので安心度が高いといえます。契約内容に基づいて厳格に財産管理が行われます。
【今から将来への備え】財産管理委任契約と任意後見契約の併用も
財産管理委任契約は「今の生活を支えるための仕組み」、任意後見契約は「将来の認知症に備える仕組み」です。
特に、任意後見契約の「移行型」とは、元気なうちは「財産管理委任契約」で生活を支え、判断能力が低下した時点で任意後見契約が発効し、後見人が財産管理を引き継ぐ仕組みですので、切れ目なく備えられる点が最大のメリットだといえます。
両者を組み合わせることで、元気な時から認知症など判断能力が低下した後まで、継続的に財産管理を任せることができるのです。
任意後見契約「移行型」を活用した場合の流れ
財産管理委任契約と任意後見契約の移行型を組み合わせることで、以下のような流れができ、現在から将来にかけて一貫した支援を受けることができます。
- 元気なうちは財産管理委任契約で生活支援を受ける
- 認知症が進んだら任意後見契約が発効
- 後見人が財産管理を継続し、口座凍結リスクを防止
財産管理委任契約の受任者と任意後見契約監督人の選び方
財産管理委任契約には受任者を、任意後見契約には監督人を置く必要があります。
財産管理委任契約の受任者の選び方
財産管理委任契約には公的監督がないため、「絶対に信頼できる人物」を受任者に選ぶことが重要です。家族・親族のほか、専門職へ依頼する選択も有効です。
- 家族
- 親族
- 専門家(行政書士・司法書士・弁護士)
- 法人(専門家法人)
必要に応じて、契約書の中で任意の「監督人」 を置くことも可能です。
任意後見契約の監督人の選び方
任意後見監督人は家庭裁判所が選任します。監督人には、任意後見人を適切に監督できる専門性が求められるため、家庭裁判所は弁護士・司法書士・社会福祉士などの専門職を選任するのが一般的です。
まとめ
認知症による口座凍結や財産管理の混乱を避けたいなら、「財産管理等委任契約」と「任意後見契約」のセットが最も確実な備えです。
- 財産管理委任契約:元気なうちから生活支援が可能
- 任意後見契約:認知症発症後に法的に強力な保護が機能
- 移行型にすれば、人生のどの段階でも財産を安全に管理できる
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