家族信託だけで葬儀・法要を任せることはできない
家族信託は「生前〜認知症になった後の財産管理」を目的とした制度です。法律上、委託者が死亡した時点で信託目的の多くが終了するため、
- 葬儀の手配
- 火葬・納骨
- 49日法要・1周忌などの仏事
- 墓所の管理
といった死後の事務は家族信託の権限外です。
死後の手続きを任せる方法
自分の死後のさまざまな手続きを任せるためには、次の3つの方法を組み合わせると安心です。
① 死後事務委任契約
死後事務委任契約は、死後の手続きを任せる唯一の仕組みです。本人が元気なうちに、信頼できる人(子・甥・姪・専門家など)と契約して、自分の死後に必要な事務を代わりに行ってもらうことを約束します。
委任できる内容は次のとおりです。
- 葬儀・火葬・納骨の手配
- 寺院への連絡・法要の段取り
- 墓所管理・永代供養の手続
- 死亡届の提出
- 施設・病院の退去手続
- 公共料金・医療費の精算 など
死後事務に対応できるのは死後事務委任契約だけ です。
② 遺言書で喪主を指定
遺言書を活用して喪主をあらかじめ指定しておくことができますので、死後事務委任契約と併用するとより安心です。
なお、葬儀に関することを遺言書に記載しても法的拘束力はありません。たとえば付言事項を利用するなどして、あくまでも「遺言者の希望」であることを伝えます。
- 葬儀の形式(仏式・無宗教など)
- 法要の希望(49日、1周忌まで等)
- 埋葬方法(墓地・納骨堂・永代供養・散骨など)
- 祭祀を任せたい親族の指定
③ 家族信託で死後の費用を準備
家族信託は死後事務そのものに関与できませんが、死後事務に必要な費用を信託財産として確保したり、受託者(任せたい人)が費用を取り崩せる状態にしたりする、といった形で葬儀費用の準備が可能です。
死後の実行行為(葬儀・納骨等)は信託の権限に含められないので注意しましょう。
事例をもとにした家族信託の設計
1つの例について考えてみましょう。
- Xさんは子どもがいないため、甥のYさんに葬儀や法要を任せたいと考えている
- 費用負担も含めて頼みたいが、親族は高齢で今後頼れるか不安がある
この場合、以下のような家族信託の設計が想定されます。
死後事務委任契約の締結
XさんからYさんに対し、葬儀・納骨・法要・墓所管理を委任する内容で死後事務委任契約を締結します。
遺言書の用意
自分の死後の喪主を指定したり希望する法要の内容を記載したりします。負担付遺贈で「法要の実施+財産の付与」としてもいいかもしれません。
家族信託で死後事務にかかる費用を確保
家族信託契約を締結し、信託財産として葬儀・法要に必要な金銭を確保します。このとき、受託者をYさん、受益者をXさん(生前)とし、Xさんの死後はYさんが葬儀に係る費用を払い出せるよう信託契約を設計することが大切です。死後事務委任契約とうまく連動させましょう。
まとめ
家族信託では死後の葬儀・法要は任せられませんので、葬儀や法要は「死後事務委任契約」で任せるのが正しい方法です。遺言書で希望を明示し、葬儀などにかかる費用は家族信託で準備しましょう。この3つを組み合わせることで死後の不安を大幅に解消できるはずです。
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