相続対策で注目されるリースバックとは
リースバックとは、自宅を専門業者へ売却したうえで「賃貸住宅として住み続けられる仕組み」です。まとまった資金を確保しながら、住環境を変えずに生活を維持できるため、老後や相続対策として利用する方が増えています。
一方で、家賃負担・売却価格の低さ・契約期間の短さなど、誤解されたまま契約すると後悔につながるケースもあります。
リースバックの基本的な仕組み
リースバックのしくみについて理解しておくことが大切です。
①自宅をリースバック業者へ売却
業者による査定後、売却に合意すれば売買契約を締結し、所有権は業者に移転します。
②業者と定期借家契約を締結
売却後、貸主=業者/借主=元所有者として「定期借家契約(2~3年程度)」を結びます。更新の可否は業者の判断によるため、長期居住が保証されるわけではありません。
③家賃を支払いながら住み続ける
毎月の賃料を支払うことで、売却後もこれまで通り同じ家に住み続けられます。業者によっては買戻し特約を設定できる場合もあります。
相続対策としてのリースバックのメリット
相続という側面から見た場合、リースバックには次のようなメリットがあることがわかります。
不動産売却により相続税負担を軽減
自宅を売却すると、財産から不動産が外れるため相続税額が減る可能性があります。また、売却代金が手元に入るため、相続発生後の「相続税納税資金」を確保できる点でも有利です。
遺産分割協議がスムーズに
不動産は分けにくい財産ですが、現金化すれば遺産分割がしやすく、相続人間の対立を防ぐ効果が期待できます。
売却後も住み続けられる安心感
高齢者や生活基盤を変えたくない方にとって、売却後に引っ越しを強いられない点は大きなメリットです。
リースバックのデメリット・注意点
相続対策として有効である一方、リースバックには注意すべきリスクがあります。
売却価格が相場より低くなる
一般的に市場価格の6〜8割程度で買取られるため、「高く売る」目的には向いていません。
定期借家契約のため長期居住が保証されない
長く住み続けたいと思っても、業者から更新拒否された場合は退去しなければなりません。さらに、業者が物件を第三者へ売却した場合、新所有者から再契約を拒否される可能性もあります。
賃料負担の継続リスクがある
想定より家賃が高く、将来支払えなくなるケースもあります。家賃は下記の計算式で決まります。
家賃=買取価格×期待利回り(7〜13%)÷12
自宅を相続財産として残せなくなる
売却した時点で所有権を失うため、「自宅を子に残したい」希望がある場合は不向きです。
オーバーローンでもリースバックできる?
ローン残債が自宅の価値を上回る状態(オーバーローン)でも、金融機関が任意売却を認めればリースバック可能です。ただし、ローン残債は別途返済が続くため、事前の資金計画が不可欠です。
リースバック利用者が亡くなった場合
賃借権は相続対象となるため、相続人が引き継げます。ただし、「誰が賃借権を相続するか」が明確でないとトラブルになるため、遺言により指定しておくのが安全です。
リースバックで後悔しないためのポイント
リースバックを利用する際は、家賃・期間・再契約条件を明確にしておくことがとても重要です。リースバックは定期借家契約が多く、期間満了で再契約できない可能性がありますので、家賃の増減条件・契約期間・再契約の可否を事前に確認し、契約書に具体的に記載しておくことがトラブル防止に不可欠です。
買戻し希望がある場合は契約書に明記
将来自宅を買い戻したい場合、口頭の約束では無効です。買戻し価格の計算方法や買戻し可能期間を契約書へ明記することで、業者変更やルール不一致による買戻しトラブルを防げます。
相続対策として使う場合は遺言・家族信託と併用
相続対策としてリースバックを活用する場合、遺言や家族信託と併用することが強く推奨されます。リースバック後は自宅の所有権を手放し、賃借権だけが残るため、その賃借権を誰が引き継ぐのかが重要な問題になります。
遺言書で生前対策しておく
遺言書で「賃借権を誰に相続させるか」を指定しておけば、相続人間の争いを避けることができます。また、売却によって得た資金についても、誰が管理し、どのように使うのかが不明確だとトラブルの原因となりますので注意が必要です。
家族信託で生前対策しておく
そこで家族信託を併用し、売却代金を「生活費・介護費に充てる」「死後の葬儀費用に備える」など、使途を契約で明確にしておき、資金の使い込みや紛争を防止しましょう。特に高齢者が単身でリースバックを利用する場合、信託財産として売却代金を管理し、受託者(子など)が適切に支出管理できる体制を整えることは非常に大切です。
遺言書と家族信託に役割を持たせる
さらに、賃借権は相続開始前に遺言で指定し、売却資金は信託で管理するという役割分担により、相続発生後の混乱を大幅に減らすことができます。リースバックは相続対策として便利な手段ですが、遺言・家族信託を併せて設計することで、より安全で後悔のない相続準備が実現できます。
まとめ
リースバックは、自宅を売却しつつ住み続けられるため、相続対策・老後資金確保・生活の安定に役立つ制度です。一方で、「売却価格の低さ」「賃料負担」「長期間住めない可能性」など、慎重に検討すべきリスクもあります。
相続対策として利用する場合は、遺言・家族信託・生前贈与など、他の対策との併用が効果的です。
不動産売却や相続対策に不安がある場合は、専門家に相談しながら判断することで安心して手続きを進めることができるでしょう。










