死後事務委任契約を結ぶと、葬儀・身辺整理・各種解約・行政への届出など、多くの「死後事務」が発生します。これら死後事務には100~百数十万円ほどの費用がかかるのが一般的で、費用準備は委任者の大きな悩みの一つとなっています。

 

そこで注目されているのが、生命保険を死後事務費用として活用する方法です。あらかじめ多額の現金を用意するより負担が少ないため、近年利用者が増えています。

 

ここでは、死後事務委任契約の費用を生命保険でまかなう方法とそのメリット・デメリットについて説明していきます。

 

生命保険の死亡保険金を死後事務費用にあてる仕組み

生命保険は、契約者・被保険者・受取人の三者で構成されています。この構成を利用して、死亡保険金をそのまま死後事務費用に充当する仕組みを作ることが可能です。

 

本来、受取人を受任者に直接指定できればよいのですが、多くの保険会社は受取人を2親等以内の親族に限定しています。そのため、もし保険金受取人を死後事務委任契約の受任者に変更したい場合は、以下の流れで手続きすることが大切です。

 

保険金受取人を受任者に変更する方法

保険金受取人を受任者に変更する流れを整理しておきましょう。

 

  1. 受取人は親族として契約
  2. 遺言書で「保険金受取人を受任者に変更する」旨を記載
  3. 家族の了承のもと、受任者が保険金を受け取る

 

遺言での受取人変更は法的に有効ですが、実務上は保険金請求手続きに時間がかかることがあるため、保険会社に対する事前の確認は欠かせません。

 

保険金で死後事務に備えるメリット

保険金で死後事務に備えることができれば、以下のようなメリットを得ることができます。

 

生前にまとまった現金を用意しなくてよい

事前に必要なお金を用意しておく方法の場合、100~百数十万万円ほどを受任者に預ける必要があり、金銭的負担は小さくありません。一方、保険金を活用する方法であれば、必要なのは保険料の支払いだけであり、いざというときの現金の持ち出しが最小限で済みます。

 

死後すみやかに受任者へ必要資金が渡る

保険金は原則として迅速に支払われます。葬儀費用や家賃清算など、死後すぐに必要となる支払いに対応できます。

 

使い込みリスクを避けられる

死後事務に必要なお金を「預託金」としてあらかじめ渡しておく場合、受任者の管理能力や使い込みリスクが問題になります。生命保険の保険金であれば、生前に受任者が多額を管理する必要がないため、心理的負担が軽減します。

 

保険金で死後事務に備えるデメリット

すべての生命保険について、「保険金で死後事務に備える」方法を実行できるわけではありません。以下のようなケースには注意しましょう。

 

共済の場合は受取人指定ができないケースあり

共済(道民共済や県民共済など)では、受取人が「配偶者父母兄弟姉妹」と、法定順位で強制的に決まっている場合があります。すでに受取人の順位が決まっているとすれば、受任者を受取人とするしくみを用意することができません。

 

受任者への保険金が「みなし相続財産」になる

遺言で受取人を受任者に変更して保険金を受領する場合、受任者に支払われる保険金が遺贈とみなされ相続税課税の対象となる可能性があります。特に、受任者が親族でない場合、税率が高くなるため注意が必要です。

 

実務上、保険金支払いに時間がかかることも

遺言による受取人変更は、保険会社によっては例外的な扱いとなることがあります。実務における確認作業が増え、支払いまでの時間が延びるリスクも考慮しておくことが大切です。このことを踏まえ、死後すぐの支払いに備えて別途少額の預託金を併用することが望ましいといえるでしょう。

 

まとめ

生命保険金を利用する方法は、事前に大金を準備する必要がなく、死後すぐに費用を確保でき、使い込みリスクを低減できるメリットがあります。

 

しかし同時に、以下のようなデメリットが発生する可能性にも目を向けておくことが大切です。

  • 共済では利用できない可能性がある
  • 税務リスクがある
  • 実務上の支払遅延リスクがある
  • 遺言との連動が必須になる

 

生命保険金で安心して死後事務に備えるには、専門家とともに契約設計することが大切になってくるでしょう

 

弊社では、死後事務委任契約・生命保険方式の設計・遺言作成まで一貫してサポートしております。ご不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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