贈与税の時効は原則6~7年
贈与税は、贈与を受けた人が支払う税金であり、一定額を超える贈与には申告が必要です。そして、贈与税には 時効(法的に税金の徴収ができなくなる期間) が存在します。
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状況 |
時効期間 |
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贈与をした事実を税務署が把握していなかった(無申告) |
6年(ただし実務は7年扱いが多い) |
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故意に申告しなかった場合(仮装・隠蔽) |
7年 |
実務上、税務署は「隠ぺいの可能性」を広く認定するため、ほとんどのケースで時効は7年と考えておく必要があります。
時効が「6年または7年」である理由
時効とは「税務署が徴収できる権利の期限」のことです。
贈与税の時効は、
- 贈与をした年の翌年1月1日からカウント開始
- 原則6年、悪質と判断される場合は7年
となっています。
しかし、贈与を「そうとは知らずに行う」ことはほぼあり得ないため、実務では「時効は原則7年」として扱われるのが一般的です。
贈与がバレる理由
税務署は、贈与税を個別に監視しているわけではありません。では、なぜバレるのでしょうか。それは、相続発生後の相続税調査によって贈与が露見することが多いからです。
贈与が発覚する典型例
- 通帳や振込履歴から「毎年の資金移動」が判明
- 親の生活費以上の送金が見つかる
- 名義預金(親のお金を子ども名義の口座に入れていた)が露見
- 相続財産が極端に少なく、贈与が疑われる
- 不動産取得に不自然なお金の流れがある
税務調査は、相続税の申告対象者に対し高い確率で行われるため、「贈与税の時効を待つ」という考えは極めてリスクが高いといえます。
贈与税の基礎控除(110万円)を正しく活用
贈与税は、1年間(1/1〜12/31)に110万円までであれば非課税です。
この範囲内であれば、申告不要かつ贈与税もゼロとなります。
ただし、以下の点は注意が必要です。
贈与が贈与として認められるための条件
贈与が贈与として認められるには、双方の「贈与する・受け取る」という意思表示があること、贈与契約書などの証拠が残されていること、実際に財産が受贈者の支配に移っていることの3点が重要です。
なお、以下のケースでは、贈与税の課税対象とみなされる可能性が高いといえます。
- 毎年同じ日に同額を贈与すると「定期贈与」とみなされ課税対象になる
- 親の通帳から子の通帳へ自動振替しているだけでは「名義預金」と判断される可能性
- 契約書や贈与の意思確認がないと贈与と認められないケースがある
したがって、正しく贈与と認めてもらうためには、贈与者・受贈者の同意を示す契約書を作成するなど、証拠となるものを備えておくことが肝心だといえます。
時効を頼らず適正な生前対策を行うべき理由
贈与税の時効を期待して、あえて申告しなかった場合、相続時に以下のリスクが生じます。
贈与税の追徴
本税に延滞税と加算税が課され、負担が大きくなります。
相続税の加算
令和6年施行の改正法により、相続開始前7年以内の贈与は「相続税に加算」されることになっています。
名義預金認定のリスク
名義預金は贈与と認められず、全額が被相続人の財産に戻されます。
調査対象者の家族への影響
配偶者・子どもの通帳まで調べられることがあります。
贈与税と時効に関する正しい対策
贈与税の時効は原則6または7年(申告漏れを知りながら放置した場合は7年)で、税務調査では相続時に発覚しやすいため、贈与契約書の作成や110万円基礎控除内の活用、銀行振込での履歴保存など、贈与の証拠確保と適切な申告が最重要の対策となります。
【対策1】年110万円の基礎控除を使う
贈与税対策として、毎年110万円の基礎控除内で計画的に贈与すれば非課税で財産移転が可能です。相続財産の圧縮にも役立ち、時効リスクも最小化できます。
そのためにも、贈与契約書を作成して贈与に関する双方の意思確認を行い、現金手渡しを避けて振込で贈与することが望ましいと考えられます。
【対策2】相続時精算課税制度を検討する
2,500万円まで非課税だが、使いどころを誤ると相続税が増えるため注意が必要です。
【対策3】生前対策としての家族信託・贈与計画を立てる
家族信託と贈与計画を組み合わせれば、将来の認知症リスクに備えつつ、財産を意図どおりに承継できます。家族信託で管理体制を整え、贈与計画で税負担を抑えながら段階的に財産移転することが、生前対策として有効です。
生前対策を行うことによって、高齢者の財産管理や認知症対策、相続税対策が可能になります。さらに専門家のサポートを受ければ、リスクを最小化できるでしょう。
まとめ
贈与税の時効は原則6〜7年で、相続時の調査で発覚しやすく時効頼りは危険です。110万円基礎控除の活用や贈与契約書の作成など、証拠を整えた適正な贈与と生前対策こそが、税務リスクを避ける最善の方法です。










