おひとりさまの増加とともに、「誰が自分の老後や死後を守ってくれるのか」という不安も大きくなっていくものです。その不安を解消する方法として、死後事務委任契約・任意後見契約・民事信託契約・尊厳死宣言・遺言を組み合わせた総合的な生前対策が挙げられます。
ここでは、異なる役割を持つそれぞれのしくみと併用するべき理由について説明していきます。
死後事務委任契約を機能させる「遺言」
死後事務委任契約を円滑に進めるには、誰が相続人で誰に費用説明・精算を行うべきかを明確にする遺言が必須です。遺言がないと相続人全員の合意が必要となり、受任者が動きづらくトラブルや遅延の原因になります。
遺言がない場合の問題点
- 相続人間の遺産分割協議が終わるまで費用の説明先が確定しない
- 受任者は死後事務費用を支出するたびに、全相続人の理解を得る必要がある
- トラブルに巻き込まれるリスクも高い
遺言がある場合のメリット
- 費用説明の対象が明確
- 遺言執行者を指定しておけば、受任者はスムーズに業務に専念できる
- 結果として死後事務が確実・安全に行える
認知症対策には任意後見契約と家族信託を併用
将来認知症になった場合の財産管理について、もっとも相談が多いのが「任意後見契約と家族信託の併用」というテーマです。
任意後見契約と家族信託を併用するメリット
任意後見契約は「判断能力低下後の身上・財産管理」を担い、家族信託は「元気なうちからの柔軟な資産管理と承継設計」が可能です。両者を併用することで、発症前から死亡後まで切れ目なく財産管理をカバーでき、認知症対策と相続対策を同時に実現できる点が大きなメリットとなります。
任意後見契約と家族信託を併用する際の注意点
任意後見契約と家族信託を併用する場合、役割の重複や権限の衝突を避けるため、受託者と任意後見人の権限範囲を契約書で明確に区分することが重要です。信託財産と本人名義財産の管理区分を整理し、家庭裁判所への報告義務との整合性にも注意が必要です。
延命治療の判断に備える「尊厳死宣言公正証書」
「延命治療は望まない」というお悩みは非常に多く、特に身寄りのない方にとっては深刻なテーマとなっています。
尊厳死宣言が必要な理由
- 医師は本人の意思が不明な場合、延命措置を中止できない
- 家族がいない/疎遠だと意思確認が不可能
- 私文書(自筆文書)は医療現場で信用されにくい
尊厳死宣言書を公正証書で残すべき理由
- 医師が判断しやすい「法的に強い証拠」になる
- 家族や後見人に代わって確実に本人意向が尊重される
延命治療に関する意思表示は、必ず公正証書で残すべきです。
士業が提案できる総合的な生前対策
以下の契約を組み合わせて初めて、老後〜死後の不安がゼロに近づきます。
- 任意後見契約
- 民事信託契約
- 見守り契約
- 身元保証契約
- 尊厳死宣言公正証書
- 遺言(公正証書遺言)
- 死後事務委任契約
それぞれ役割が異なるため、単独では不十分です。
まとめ
「おひとりさま」の不安は、単なる死後事務委任契約では解決しません。任意後見・信託・尊厳死宣言・遺言を組み合わせて、老後の判断能力低下から死後の手続きまで一気通貫で備えることが必要です。
弊社ではこれらの生前対策を総合的に設計し、実務で本当に役立つ形で整えるサポートを行っています。どう準備すべきか迷われている方は、ぜひご相談ください。










