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個人事業主が事業承継する場合の手続きと代表的な節税対策
法人化せず個人で事業を営んでいた場合、事業承継するにはどうしたらいいのでしょうか。ここでは、個人事業主が事業承継する場合の手続きなどについて説明していきます。
個人事業主の事業承継の手続き
個人事業主が事業を後継者に引き継ぐ場合、一般的には以下のような流れをたどります。なお、相続によって事業を受け継いだ場合はまた手続き内容が変わりますので、まずは基本的な流れについて理解しておくといいでしょう。
後継者を選ぶ
事業承継を考えている場合は、まず後継者を誰にするかを決めるところから始めます。実の子などに事業を引き継いでもらう親族内承継が最もよくみられるパターンですが、ほかにも第三者を後継者とする社外後継というやり方があります。
後継者教育を行う
後継者が決まったら、次は事業内容を覚えてもらうための教育を行っていきましょう。事業そのものを引き継いでもらいますので、事業が成り立つようじっくりと学ばせ、取引先をいっしょにまわって挨拶しておくことをおすすめします。個人事業主の取引先は同じ個人事業主であることが多く、また事業者同士の信頼関係をもとに成り立っている部分もあるため、後継者や取引先が不安にならないような配慮をすることが肝心です。
現事業者が廃業手続きを行う
法人の場合、事業譲渡や相続などに関する手続きがやや複雑ですが、個人事業主の場合は現事業者が廃業届を出すだけで終了します。
後継者が開業手続きを行う
前事業者が廃業届を出したら、続いて後継者が開業届を出します。この後、屋号引継ぎを行えば事業の引継ぎが完了するので、手続きに翻弄されることがありません。
後継者が屋号引継ぎの手続きを行う
後継者が開業届を出す際、それまで使われていた屋号を引き継ぐ旨を届出用紙に記載します。これにより、屋号の引継ぎが可能になります。
取引先への挨拶
事業の引継ぎが終わったら、速やかに取引先への挨拶まわりに行きましょう。すでに前事業者により紹介を受けている場合も、新しく代表になった旨を伝えに足を運ぶことが大切です。これから新たに信頼を得ていくためにも、挨拶は欠かせません。
個人事業主の事業承継でやっておきたい節税対策
事業承継の手続きとともに、あらかじめ知っておきたい節税対策について説明していきます。まずは、個人事業を相続によって引き継いだ場合の相続税について概要を理解しておきましょう。
相続による相続税の取り扱い
先代にあたる前事業者が死亡し、これにより相続人が事業を引き継いだ場合、相続税が発生します。すでに贈与税に関して相続時精算課税を選択している場合は、「贈与時の価額+相続財産の価額」の式に基づいて相続税額を導き出し、納付済みの贈与税相当額を控除し実際に納めるべき相続税額を計算します。
一方、前事業者が青色申告を行っていた場合、個人版事業承継税制を活用し節税に活かすことが可能です。
個人版事業承継税制の活用
前事業者が青色申告を行っており、その事業および資産を後継者が引き継いだ場合、「円滑化法」の認定を受けていれば、贈与税や相続税の免除が適用されます。
後継者が非上場会社の株式等(法人の場合)・事業用資産(個人事業者の場合)を先代経営者等から贈与・相続により取得した場合において、経営承継円滑化法における都道府県知事認定を受けたときは、贈与税・相続税の納税が猶予又は免除されます。
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個人版事業承継税制の適用を受けるためには、以下の2点を満たしていることが必要です。
(1) 2019年(平成31年)4月1日から2024年(平成36年)3月31日までに、都道府県庁に「個人事業承継計画」を提出し、確認を受けていること。
(2) 2019年(平成31年)1月1日から2028年(平成40年)12月31日までに、贈与・相続(遺贈を含む)により事業用資産を取得すること。
※中小企業庁ホームページより抜粋
まとめ
個人事業主の事業承継手続き自体は決して難しいものではありませんが、事業承継に伴うさまざまな対応や今後のための節税対策など、考えておかなければならないことがいくつもあります。特に、相続により事業を引き継いだ場合は、相続税の納付に備え活用できる仕組みを積極的に利用していく必要が出てくるでしょう。
このような場合は、課題をひとりで抱え込むことなく、事業承継の取扱経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。スムーズかつ無駄のない事業承継を実現するためにも、ぜひ当事務所までお問い合わせください。