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生命保険契約照会制度を積極的に活用する方法
相続開始後の実務を行うなかで、重要な確認事項として被相続人が生命保険に入っていたかどうかということがあります。生前、自分にもしものことがあったときのために家族を守るために入っていた保険があっても、遺族である相続人がその存在に気付かないケースもあるのです。ここでは、そのようなケースを回避するための生命保険契約照会制度について説明していきます。
生命保険契約照会制度の概要「家族を守るための生命保険に気付く」
保険契約者が生前に生命保険に加入していたとしても、死後に加入の事実が明らかにならないまま保険金請求がなされないことがあります。このような事態を避けるために設けられたのが、保険契約者の遺族や関係する第三者が生命保険協会に契約の有無を問い合わせることができる「生命保険契約照会制度」なのです。
生命保険金は請求しなければもらえない
保険金は原則として請求しなければもらうことができません。しかし、保険契約者である故人が生命保険に加入していることを家族に伝えていなかった場合、亡くなった後に遺族が保険金を請求できる権利があることすらわからないのです。故人の生命保険加入状況を調べようとしても、どこの保険会社と契約しているのか不明ですし、確認しようとすると想像以上の手間がかかります。
あまり知られていないことですが、保険金を請求できる権利は、生命保険の場合なら保険契約者が死亡してから3年の時効をもって消滅します。このため、加入状況がわからないままでは、最悪の場合、請求できるはずの保険金の存在すら気付かないことも起こり得るのです。
保険金がおりるかどうかは遺族にとって大きな問題ですので、保険金が間違いなく支払われることを目的として「生命保険契約照会制度」が設けられました。
なお、災害により保険契約者が亡くなった場合は、配偶者や直系の家族が直接加入状況を紹介できる「災害地域生保契約照会制度」を利用できますが、あくまでも災害時の利用に限られます。しかし、2021年7月の「生命保険契約照会制度」施行によって、平時でも照会が可能になったのです。
生命保険契約照会制度の利用条件・申請方法・料金
生命保険契約照会制度は、次のような状況において利用することができます。
平時(災害時ではない)に保険契約者が死亡した場合
病気などを原因として保険契約者が亡くなり、本人の生命保険加入の有無がわからなくなったときは、法定相続人や法定相続人の親を含む法定代理人、法定相続人の依頼を受けた行政書士などの代理人や遺言執行者が、代わって保険加入状況の照会を行うことができます。
保険契約者が認知症などになった場合
認知症などにより保険契約者の認知判断能力が著しく低下した場合は、医師による診断書を根拠に代理人による保険加入状況の確認が可能です。代理できる人物は、法定代理人や依頼を受けた行政書士などの代理人、任意後見人や三親等内の親族、そして三親等内の親族から依頼を受けた弁護士や行政書士などの代理人です。
加入状況照会に必要な書類と料金
本人との関係性によって必要となる書類が異なります
【例】加入者が死亡しており、法定相続人が照会する場合
- 加入者の死亡診断書
- 加入者と法定相続人との続柄を確認できる戸籍など
- 照会する法定相続人の本人確認書類
【例】加入者の認知判断能力が著しく低下しており、三親等内の親族が照会する場合
- 指定書式による医師の診断書
- 加入者と三親等内の親族との続柄を確認できる戸籍など
- 三親等内の親族の本人確認書類
- ※加入者が同意の意思を示すことができる場合は同意書も追加
また、災害による死亡や行方不明である場合を除き、照会を行うためには1件につき3,000円の利用料が必要です。
まとめ
新しく始まった制度であることから、契約者本人以外の人物が照会できること自体を知らない人は多いと考えられます。また、自分自身で照会を行うには、指定された書式による診断書を医師に依頼したり、インターネットや郵送による手続きを行ったりする必要があり、手間がかかります。
当事務所では、制度に関する詳しい説明を行うとともに、ご依頼頂ければ代理人として生命保険契約照会を行うこともできますので、お困りの際はぜひお早めにご相談いただけますと幸いです。