遺産相続をめぐって争っている複数の相続人のうちの1人が、相続財産となった預金口座の取引経過の記録開示を金融機関に求められるかどうかをめぐって争われた事件です。預金通帳、印鑑を管理していた遺産の共同相続人の1人による、不自然な出入金があったとして、別の共同相続人が金融機関に記録開示を求めたが拒否されたため提訴していました。
これまで多くの金融機関は共同相続人全ての同意がなければ記録の開示に応じて来なかった言われていますが、同事件で最高裁判所第一小法廷は、「金融機関は、預金契約に基づき、預金者の求めに応じて預金口座の取引経過を開示すべき義務を負う」とし、「共同相続人全員に帰属する預金契約上の地位に基づき,被相続人名義の預金口座についてその取引経過の開示を求める権利を単独で行使することができる」としました。