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夫の死亡後に旧姓に戻る方法と「夫婦同氏」「姻族関係」

夫が死亡したら、自分の氏も自動的に旧姓に戻るのではないかと思う人がいるかもしれません。しかし、離別と異なり死別の場合は、夫の死亡後も妻の氏字は婚姻時のままであることを覚えておきましょう。ここでは、夫を亡くした後で旧姓に戻したい妻の氏の変更について解説していきます。

 

夫の死亡後も「夫婦同氏」は有効である

結婚時には夫婦どちらかの氏を名乗ることになっており、これを夫婦同氏の原則といいます。これによって夫婦は同じ氏を持ちますが、日本では圧倒的に妻の方が氏を変更しており、旧姓をもつことになるのです。

 

では、夫が死亡したら自動的に妻の氏は旧姓に戻るのでしょうか。答えはNOであり、特に妻から届け出がない限り妻の氏は婚姻時のものから変わることはありません

 

妻が旧姓に戻っても子供の氏は自動的に変更されない

子供がいる場合特に注意が必要なのが、妻が旧姓に戻っても子供の氏までは自動的に変更されないということです。妻が夫の戸籍を離脱して旧姓に戻っても、子供は死亡した夫の戸籍に残るため、母子でありながら戸籍も氏も異なるという状態が生まれるのです。

 

もし、子供を妻の戸籍に入れたい場合は、家庭裁判所に対して子の氏の変更許可申立書を提出し許可を受けるか、役所に対して子供の入籍届を提出するか、いずれかの方法をとる必要があります。原則として子供本人が手続きしなければいけませんが、子供が15歳未満の場合は、子供の意思を十分尊重したうえで親などの法定代理人が手続きを代理できます。

 

妻が旧姓に戻っても相続人に変わりはない

妻が役所に対し旧姓に戻る届け出(復氏)を行った場合、旧姓に戻ることができます。つまり、妻は「婚姻時の氏を名乗り続ける」「復氏の届け出により旧姓に戻る」という二つの選択肢を持つことができるのです。

 

婚姻時の氏を名乗り続ける場合は特に手続きをする必要はありません。しかし、旧姓に戻りたい場合は、役所に対して「復氏届」を提出すれば旧姓に戻ることができます。復氏届提出の際、戸籍謄本(本籍地に居住している場合を除く)を添付すれば手続きは完了です。その際、新しく旧姓での戸籍を作るか婚姻前の親の戸籍などに戻るかを選択する必要があるので、どちらにするか決めておきましょう。

 

夫と死別し妻が旧姓に戻っても相続人である

夫と離婚した場合は法的にお互いが他人となるため、夫が死亡しても、妻は夫の財産の相続人ではなくなります。しかし、死別の場合は離婚ではないため、夫の戸籍から抜けない限り、法的には妻としての立場を維持していることになり、最優先順位の相続人としての位置付けは継続するのです。

 

したがって、夫名義の財産を相続したり遺族年金を受け取ったりする権利は消滅しません。

 

氏を旧姓に戻しても姻族関係は解消しない

復氏届を提出することにより、婚姻時の氏から旧姓に戻ることができます。しかし、新しく戸籍を作ったり婚姻前の戸籍に戻ったりしたとしても、夫の親族との親戚関係まで解消するわけではありません。夫の親族のことを姻族関係といいますが、夫の死別により婚姻関係が終了しても、夫の身内との繋がりまでは消えないのです。

 

夫の死亡を機に夫の身内との姻族関係も解消したい場合は、必要書類を添付して姻族関係終了届を出さなければなりません。これにより、夫およびその身内との関係性は終了します。

 

まとめ

夫の死亡により自動的に旧姓に戻ることはなく、届け出が必要であることがわかりました。同時に、旧姓に戻っても「夫を亡くした妻」としての立場が継続するため、相続における権利や優先順位も変わることはないのです。

 

しかし、旧姓に戻り新しく戸籍を作るか親など以前の戸籍に戻る場合は、亡くなった夫との婚姻関係が解消されます。ただし、夫の身内との親戚関係は続くので、これも解消したい場合は別途手続きが必要になるのです。

 

復氏届などの手続き自体はとても簡単ですが、婚姻関係や姻族関係がどう変化するか理解していないと、戸籍上はいつまでも妻かつ夫側の身内である事実が継続します。このような事情を把握しないまま旧姓に戻す人は決して少なくないため、復氏届により何がどう変化するのか不安な人や疑問を抱いている人などは、法律の専門家に相談することをお勧めします。

 

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