トップページ > クラウドワーカーの報酬をデジタル遺産として受け取るには
クラウドワーカーの報酬をデジタル遺産として受け取るには
在宅ワークやリモートワークなど、自宅にいながら仕事を請け負うクラウドソーシングという働き方が随分と浸透してきました。もしかすると故人も、在宅時間を上手に使ってクラウドワークを行っていた可能性があります。業務を行えば報酬を受け取ることができますが、払い出し前の報酬をデジタル遺産として受け取るにはどうしたらいいか、について説明します。
家族が亡くなった後のクラウドソーシングの見つけ方
ランサーズやクラウドワークスなど、自分の特技を活かした仕事を求める人と特定の業務を依頼したい人・企業を結び付けるのがクラウドソーシングの在り方です。依頼主はワーカーに対して業務を委託し、ワーカーは業務を遂行し完了することによって報酬を受け取れる仕組みになっています。職種は多岐にわたり、データ入力・執筆・デザイン・HP構築など実にさまざまです。
もし、故人がクラウドソーシングに携わっていた場合は、まず以下の手順でクラウドソーシングサービスを発見し発注元との連絡を早急に行いましょう。
クラウドソーシングサービスを見つける
まず行うべきなのは、故人がどのクラウドソーシングを利用していたかということです。一般的にクラウドソーシングに従事している人は、サイトへ頻繁にログインを繰り返す必要があることから、パソコンならブックマークに、スマートフォンならアプリとして登録していることでしょう。ブックマークやホーム画面を確認してクラウドソーシングが見つかったら、その場所で業務委託の仕事を得ていた可能性が高いことがわかります。
ログイン情報がわかれば実際の受発注状況について確認することができますが、多くの場合、ログインすらかなわないことが考えられます。そのようなときは迷わずサポートに連絡を取り、事情を話して対応を求めましょう。
次に確認したいのは入金履歴です。クラウドソーシングの名称がわかれば、その名前で入金履歴あるいは支払い履歴が見つかるかもしれませんので、紙の通帳やオンライン通帳を調べ、活動状況を把握します。もし入金履歴があった場合は、デジタル遺産として数えることができますので、内訳を記録しておきましょう。
発注元への連絡は早急に
次に急ぎたいのは発注元への連絡です。特に、請け負った仕事が中途になっている場合は、早急に発注元に連絡して事情を話し、現状で契約を終わらせることが可能か交渉しなければなりません。また、仕事が完了している場合でも、以降の受注が不可能である旨を話し、お詫びと感謝の気持ちを伝えましょう。
未払い報酬の受け取りには相続関連書類が必要
クラウドソーシングサービスでは、一般的に、業務委託・納品・報酬支払いの三段階で仕事が完了します。サービスによって対応に違いはあるものの、もし未払いの報酬があった場合は相続関連書類をもとに故人との関係性や死亡の事実を証明する必要が出てくるでしょう。
家族の負担を軽減するにはIDとパスワードを知らせておくことが大事
ログイン情報がわからない場合、遺族はサービス側と何度もやり取りを繰り返して、ようやく未払い報酬の受け取りや仕事の相手方とのやり取りに漕ぎつけます。この過程は決して容易ではなく、相応に負担がかかるものと理解しておかなければなりません。このため、自分に万が一のことがあった場合に備えて、秘密証書遺言などを活用し、クラウドソーシングサービスへのログイン情報を提供できるようにしておくことをお勧めします。
デジタル遺品・デジタル遺産が急激に増えている昨今だからこそ、遺言書の存在は非常に重要になっています。生前はプライバシーとして個人管理するとしても、死後は自分で作業を行えませんから、先に述べた秘密証書遺言を利用するなどして遺族に重要な情報が伝わるようにすることが大切です。
まとめ
クラウドソーシングへのIDやパスワードは立派な個人情報ですので、普段の管理は厳重にする必要がありますが、自分にもしものことがあれば家族に後処理を任せるしかありません。しかし、特に知らせていない限り、クラウドソーシングへの従事について家族に気付かれないままになるケースも多々起こるため、死後に対応して欲しい作業を確実に伝えられるよう備えておくことが大切です。
このとき非常に役立つのが遺言書になりますので、ぜひデジタル遺品・デジタル遺産に関するご相談をいただき、どのように遺言書で伝えるべきかヒントを得ていただけると幸いです。方法論がわかればやるべきことも見えてきますので、デジタル遺品・デジタル遺産問題に対応可能な当事務所へのご来所・メールなどをお待ちしております。