養子縁組をした養親と養子のうち、いずれかの死後に親族としての関係性を解消するための手続きを「死後離縁」といいます。養子縁組を解消し親子ではなくなることから、特に相続や扶養義務などにおいて大きな影響をもたらします。
【この記事の要点】
- 死後離縁と相続関係、扶養義務
- 死後離縁の申立ての内容と流れ
- 死後離縁後は自動的に復氏する
- 死後離縁後に再び養親の苗字を使用するための条件と手続き
ここでは、死後離縁した場合の相続関係と手続きの流れについて説明していきます。死後離縁することについてはデメリットも存在するので、自分の意思や周囲への影響を十分考慮することがとても大切です。
死後の養子縁組解消と相続関係・扶養関係
養子縁組した養親または養子のいずれかが亡くなった後で養子縁組を解消したい場合は、家庭裁判所にその旨を申し立てて離縁の許可を得る必要があります。手続きを行わなかった場合、養親または養子の死亡によって自動的に離縁することはありません。養親子関係の解消を考えている場合は、どのような影響があるか理解したうえで手続きすることが大切です。
死後離縁と相続関係
たとえば養親が亡くなった後で死後離縁の手続きを行ったとしても、相続には影響を及ぼさないため、養子が相続人であるという事実は変わりません。ただし、養親の死亡日時点でまだ養子縁組が成立していることが必要です。
たとえば、養父と養母がおり、そのうち養父が亡くなってから死後離縁した場合、養父の相続については養子が相続人となりますが、養母の相続人になることはできません。
死後離縁と扶養義務
死後離縁することによって、養親および養親の親族との関係が解消されます。それまで兄弟姉妹であった人物との関係性もなくなります。
養父が亡くなり養母が存命だった場合、養子は扶養義務にしたがい養母を扶養し助けなければいけません。同様に、兄弟姉妹や養親側の親族に対する扶養義務も負っています。しかし、死後離縁して養子縁組を解消することで、これら扶養義務は発生しないことになります。
死後の養子縁組解消(死後離縁)の申立てと手続き
死後離縁の申立人は養子縁組の当事者とし、その住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。申請書類などについて確認しておきましょう。
申立書類および費用
- 家事審判申立書(死後離縁許可)
- 養親の戸籍謄本
- 養子の戸籍謄本
- 子1人につき収入印紙800円分
- 郵便切手
※すでに亡くなっている人がいる場合は、除籍や改製原戸籍を取得し提出します。
※裁判所の判断により追加書類を求められる場合があります。
なお、15歳未満の者が申立人である場合は、離縁成立後に法定代理人となる者が本人の代理として手続きすることになっています。
確定証明書の交付申請
死後離縁の申し立てについて家庭裁判所による許可がおりたら、審判を行った家庭裁判所に対して「確定証明書」の交付申請を行いましょう。通常、死後離縁の許可審判書とともに確定証明書の申請書が送付されてきますので、必要事項を記入のうえ収入印紙を貼付して申請書を提出します。
役所に養子離縁届を提出する
養子離縁届の提出先は、養親または養子の本籍地か所在地の役所です。役所への届出の際には、次の書類を用意します。
- 審判書謄本
- 確定証明書
役所の判断により別途書類の提出を求められる場合もありますので、あらかじめ確認した方がいいでしょう。
死後離縁で生じるデメリット
死後離縁の申立てが認められた場合、撤回することができませんので、次に挙げるような点について問題が生じないか慎重に確認しましょう。
現在の苗字は養子縁組後7年経過しなければ使えない
養子縁組を解消すると、養子の苗字は自動的に元のものに戻ります(復氏)。養子縁組以降使用してきた養親の苗字は、死後離縁成立後に使えなくなりますので十分注意しましょう。
養親の苗字を名乗りたい場合、次の条件を満たす必要があります。
養子縁組の期間が7年以上であること
養子縁組をしてから7年経過後でなければ、再び養親の苗字を名乗ることはできません。死後離縁成立後も養親の苗字を使用したい場合は、養子縁組期間が条件を満たしているか確認が必要です。
死後離縁成立の日から3ヶ月以内に届け出ること
養子縁組の期間が7年以上あったとしても、死後離縁(養子縁組解消)が成立した日から3ヶ月以内に届け出なければ、養親の苗字を使用することはできません。期限を超えてしまうと、届出自体ができなくなります。
「離縁の際に称していた氏を称する届」あるいは「戸籍法73条の2の届」とよばれており、各地の役所で手続きすることができます。
まとめ
死後離縁は、養子縁組を解消する重要な手続きです。一度申立てが認められてしまえば、以後は養親や兄弟姉妹、養親側の親族との関係性が消滅しますので、慎重に検討したうえで手続きに進んだ方がいいでしょう。
相続では、遺産分割だけではなく、故人およびその遺族に関連する諸手続きをいくつもこなしていかなければならないため、遺族にとても大きな負担がかかることが想定されます。相続や遺言などに関するさまざまなご不安・疑問がある場合は、当行政書士法人の無料相談をぜひご利用ください。丁寧にお話をうかがい適切に対応させていただきます。










