家族信託でも遺留分侵害が起こりうる

家族信託は柔軟な財産管理が可能な制度ですが、信託設計によっては遺留分侵害が発生することがあります。家族信託を「遺留分対策になるだろう」と誤解して利用してしまうと、思わぬトラブルを招く可能性があるため注意が必要です。

 

信託受益権は遺留分の対象となる可能性がある

家族信託では、財産の名義は受託者に移りますが、実際にその財産から利益を受け取る権利は「受益者」が有します。信託受益権は財産権として扱われ、相続時にも「遺産」として評価されるのが現在の一般的な実務です。

 

受益者だった被相続人が死亡すると、次の受益者に受益権が移転しますが、この受益権が遺留分算定の対象に含まれる場合があるのです。

 

信託受益権が遺留分侵害の対象になる理由

遺留分侵害請求の対象外となる財産として、死亡保険金などの「みなし相続財産」がありますが、信託受益権はみなし相続財産に該当しないと考えられている点に注意しなければなりません。信託受益権は遺留分侵害の対象とみなされやすいのです。

 

信託受益権が遺留分侵害の対象になると考えられる理由は次のとおりです。

  • 信託受益権は契約行為により設定された権利であり、被相続人固有の財産とみなされる
  • 信託財産は「委託者=受益者」である場合、実質的には本人の財産と評価される

 

もし、家族信託で特定の相続人だけに有利な設定をした場合、他の相続人から遺留分侵害請求がなされるリスクを排除できません。

 

遺留分侵害請求に備えた現金・預金の用意を

遺留分侵害請求は金銭請求のみ認められますので、仮に相続財産を家族信託ばかりに偏って運用した場合、次のような問題が生じる可能性があります。

  1. 遺留分請求があっても現金がなく支払えない
  2. 信託受益権の一部を金銭に換える必要がある
  3. 結果として家族信託の目的が達成できなくなる可能性がある

このことから、一定の現金や預貯金など未信託財産を残しておくことが実務上極めて重要です。

 

家族信託の設計には専門的な調整が必須

家族信託は柔軟な制度である反面、次のような検討が不可欠です。

 

不公平な一次相続・二次相続設計を避ける

極端に特定の相続人を優遇すると遺留分侵害が高確率で発生します。

 

信託の目的と遺留分を両立させる

認知症対策目的の信託であれば、遺留分侵害が起こらない範囲で設定すべきです。

 

家族全員に内容を共有する

一部の家族にしか説明しないと、後日「聞いていない」とトラブルになる可能性があります。

 

まとめ

家族信託は便利な制度ですが、遺留分侵害が起こる可能性があるため、信託受益権の扱いや財産構成を慎重に検討しなければなりません。信託しない財産を残すこと、相続人間の公平性を守ることが、トラブル防止の大きなポイントです。

 

当事務所では家族信託・遺留分・相続税を横断的に検討しながら最適な設計を提案しています。初回相談は無料ですので、家族信託を検討中の方はぜひ一度ご相談ください。

 

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