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死後事務委任契約書の注意事項と書き方
自分の死後に備えて、受任者を選び死後事務委任契約を交わしておくケースが増えています。ここでは、死後事務委任契約書の注意事項と書き方について説明していきます。
死後事務委任契約書の注意事項
死後事務委任契約が発効するときには自分は亡くなっているということですから、注意点を意識して契約書作成に臨む必要があります。特に、以下に挙げる点について、必ず契約書に記載または関係者からの同意を得るようにしましょう。
委任者の死亡により契約失効しない旨を記載する
民法653条によると、委任契約は、委任者または受任者が死亡することにより終了するとされています。せっかくの死後事務委任契約なのに、委任者が亡くなると同時に契約が失効するというのですから注意しなければいけません。こういった場合は特約を設け、「委任者が死亡しても契約は終了しない」と明記しておく必要があります。
委任者の家族から事前に同意を得る
仮に疎遠であったとしても、委任者の家族や親族などには、あらかじめ死後事務委任契約について知らせておいた方がいいでしょう。いざ委任者が亡くなり受任者が死後事務を開始したとき、「血縁者がいながらなぜ第三者が本人の代わりに動くのか」と、心情的なもつれに発展することがあるからです。
こういった不信感などを解決するためには、死後事務委任契約を交わす段階で家族や親族から了解を得て、いざ契約が発効したときには受任者がスムーズに業務を遂行できる環境を作っておくべきでしょう。
委任したい死後事務の内容は詳細に記しておく
委任者死亡の時点で、本人は死後事務について希望を述べることができなくなりますので、死後事務委任契約を交わす際は、契約書に委任事項を詳細に記しておくことが大切です。
たとえば、死後事務の一環として、死後に連絡して欲しい人が要る場合は、連絡して欲しい人と委任者の関係性に加え、相手の名前・住所・電話番号について契約書に記載しておくのです。具体的な内容を作り上げることにより、受任者が行う死後事務はよりスムーズなものとなるでしょう。
死後事務委任契約書の書き方
死後事務委任契約書の書き方について、重要項目を抜粋した例を挙げてみましょう。
委任者・佐藤一郎(以下、「甲」という。)及び委任者・鈴木二郎(以下、「乙」という。)は、以下のとおり、甲の死後の事務について委任契約を締結する。
第1条 死後事務委任契約の内容
甲は、本日、乙に対して次の死後の事務を委任し、乙はこれを受託した。
(1)甲が入院していた病院Aの入院費用の支払い、その他の債務の支払い。
(2)入院保証金、入居一時金その他の残債権の受領
(3)遺体の引取り、葬儀、納骨、永代供養
(4)甲の賃借する部屋の明渡し、不要な家財道具・生活用品の処分
(5)甲の死後の関係者への報告
(田中三郎:住所 札幌市中央区南1条-2、電話011-123-4567)
(6)甲の死亡に関する行政機関への届出
(7)家庭裁判所に対する相続財産管理人選任の申立
第2条 預託金
1 甲は、乙に対し、本契約締結時に、本件死後事務を処理するために必要な費用及び乙の報酬に充てるために、金300万円を預託する。
2 乙は、甲に対し、前項の預託金について預かり証を発行し、預託金を乙の財産と区別して保管する。
第3条 報酬
甲は、乙に対し、本件死後事務の報酬として金50万円を支払うものとし、本件死後事務終了後、乙は、預託金からその支払を受けることができる
上記契約の成立を証するため、本契約書2通を作成し、各自署名押印の上、各1通を保管する。
令和00年00月00日
札幌市中央区南〇条1番地
委任者 佐 藤 一 郎 ㊞
札幌市南区南〇条〇丁目1番地
受任者 鈴 木 二 郎 ㊞
上記は、契約書に盛り込む最低限の事項を挙げたサンプルであり、実際の書式は個々により変わってきます。詳しくは当事務所までお問い合わせください。
まとめ
当事務所では、ご相談者様のご事情についてじっくりとヒアリングを行い、その後、事案ごとに生前対策の全体像を提示させていただきます。費用については、その時点における明朗な金額を算出してお見積書を作成し、手続きにかかる日数その他のアドバイスなどご納得いただけるよう説明します。契約を急がせることはありませんし、ご依頼されるかどうかは相談後に決めていただいて結構ですのでどうぞご安心ください。