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死後事務委任契約に関する知っておきたいデメリット

自分が亡くなったあとでも、自分の希望を叶えた形で葬儀や身辺整理を行ってもらうことができる死後事務委任契約ですが、決してメリットばかりではありません。ここでは、死後事務委任契約を結ぶことにより発生しやすいデメリットについて説明していきます

 

死後事務委任契約のデメリット

自分が亡くなったあとでも、自分の希望を実現した身辺整理が可能な点では非常に便利な死後事務委任契約ですが、いくつかの点において注意した方がいいことがあります。特に以下については問題に発展しやすい可能性もあるため、契約の際には十分注意して臨みましょう。

 

死後事務と遺言が干渉しあう可能性がある

委任者の死後の身辺整理に関する契約が死後事務委任契約であり、委任者(被相続人)の財産の引き継ぎ方について記しておくのが遺言書です。したがって、仮に死後事務委任契約で委任者の財産処分(遺品整理など)に関する項目が設けられていたとしても、遺言書に記載された内容が優先される点に注意しておきましょう。

 

受任者は、委任者の財産を動かしたり処分したりすることはできませんし、それは相続人の持つ権利になります。このため、受任者は遺品整理などを行う際に相続人の立ち合いを求める必要があると考えられますし、遺品の処分についても相続人の意思を反映させなければならないでしょう。

 

また、もし相続人の親が委任者であり、親の死亡により受任者の地位を受け継いだとしても、あくまでも契約者であった親の意向を最優先すべきです。この点において、受任者や相続人の間で見解の相違や争いが生じる可能性があることを踏まえると、死後事務委任契約書には「どの遺品を処分しどの遺品を相続人に譲るか」にいたるまで詳細に記載したうえで、受任者が手をつけていい遺品を特定しておくことも大切になってくるでしょう。

 

同時に、委任者としては、財産処分に関わることは遺言書にきちんと記しておき、財産処分を除く身辺整理については死後事務委任契約で具体的に内容を指定しておくことが肝心です。

 

委任契約に関する民法上の規定に注意する

民法653条では、委任契約の終了について以下のように記載されています。

 

(委任の終了事由)

第六百五十三条 委任は、次に掲げる事由によって終了する。

一 委任者又は受任者の死亡

二 委任者又は受任者が破産手続開始の決定を受けたこと。

三 受任者が後見開始の審判を受けたこと。

※e-Govより抜粋

 

委任契約は、委任者あるいは受任者が亡くなった時点で、原則として終了になる旨が記載されています。この点に気付かないまま死後事務委任契約書を作成してしまった場合、委任者が死亡した時点で契約が終了したとみなされる可能性も出てくるリスクがあります。リスク回避のためには、委任契約書に「委任者が死亡したあとも契約内容は有効である」旨を明記しておくことが大切です

 

相続人が契約解除する恐れがある

民法651条によると、委任契約における委任者は自由に契約解除できる旨が記載されています。

 

(委任の解除)

第六百五十一条 委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。

2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。

一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。

二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。

※e-Govより抜粋

 

死後事務委任契約を当てはめてみた場合、委任解除権が相続人に相続されたとして、相続人の意思によって死後事務委任契約が終了されることも考えられます

 

この点については、まだ明確な定義や見解がないため判断が分かれるところでもありますが、不測の事態に備えて、死後事務委任契約の内容については委任者と受任者の間だけではなく相続人も交えて情報共有を行い、理解を得ておく必要があるでしょう

 

まとめ

死後事務委任契約を結んでおくことにより、元気なうちから自分の死後の身辺整理の準備が叶うため、本人やその家族にとって大きなメリットがあります。しかし、その一方で、法的な注意点が存在することも事実だといえるでしょう。

 

委任者が亡くなったあと、受任者と相続人(家族)との間に争いが生まれないよう、死後事務委任契約とともに遺言書や家族信託などを併用したり、受任者を法律の専門家に任せたりすることをおすすめします

 

当事務所では、死後事務委任契約や遺言書作成、家族信託といった生前対策にも注力していますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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