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家族信託で高齢の親の生活費を守れるか?認知症対策事例

高齢化社会では、親が認知症になり得る可能性も大きくなっているといえます。判断能力を保てなくなれば、金融機関により財産を凍結されるリスクもあり、親の生活費を守ることができません。しかし、家族信託を活用すれば、親が認知症になってもその生活費を守ることができるでしょう。ここでは家族信託をどう活用すべきか説明していきます。

 

家族信託は認知症の家族の生活費を守ることができる

親が認知症になったとき、最も心配なのは親の生活費をどうするかということでしょう。判断能力が著しく低下したと見なされ金融機関が口座を凍結してしまった場合、お金はあるのに引き出せず親に生活費を渡せない、といった事態になりかねません。そこで注目されるのが家族信託という方法です。あらかじめ親が子供を受託者として指名しておけば、親自身が将来的に認知症になったとしても親の口座からお金をおろし親の生活費を確保していくことができるからです。

 

認知症に備えた家族信託の在り方

認知症に備えることを目的として、親自ら家族信託という方法を選ぶケースが増えています。親を委託者かつ受益者、子供を受託者として信託契約を交わすのです。信託口座を開設して親は財産である金銭を預け入れ、子供は親のためにそのお金の管理を行っていきます。信託契約内容としては、親の判断能力が衰えたことを想定し以下のように取り決めるといいでしょう。

 

(例)

 

単に「受託者は委託者の財産を管理できる」では実際に家族信託機能が必要になった時点で具体的なケースに対応しきれない可能性があります。できるだけ具体的なやり取りを文字に起こして契約を交わすことをおすすめします。

 

親の認知症に備えて交わした家族信託契約の事例

80歳になる父親を持つ50歳男性は、父母の将来を案じて家族信託を取り入れることにしました。父母ともに高齢になってきて認知症が他人事ではなくなり、今のうちに対策を講じておくべきだと考えたためです。高齢の父母は自宅で二人暮らしをしていますが、遠くない日に高齢者施設への入所も検討中です。子供は50歳男性を含め二人いますが、いずれも家庭を持っているため親と同居はしていません。両親は財産として実家と収益不動産、金銭5,000万円を所有しています。

 

両親が施設に入った場合、自宅が空き家になってしまうため売却が必要になりますので、受託者が代わって売却行為ができる旨を契約書に盛り込みました。そうすることで両親が認知症などになっても、自宅が空き家のまま処分することも貸すこともできないという事態を避けることができます。収益不動産についても、万が一の時は受託者である子供が賃貸借契約や物件管理を代わりに担うこととしました。入居者がすでにいる物件ですので、何が起きてもスムーズに手続きができるよう備えておかなければなりません。金銭については、両親がもともと所有していた5,000万円のうち4,500万円を信託することとしました。

 

家族信託の設計(スキーム)

本件における家族信託の具体的な設計は以下の通りです。

 

 

注目すべきは、両親が所有していた金銭5,000万円のうち4,500万円だけを信託した点でしょう。つまり4,500万円は信託口座に預け入れ、残る500万円は両親の手元に残したのです。

 

万が一、親が認知症など著しく判断能力が衰えた状態になった場合、親の手元においた500万円は凍結の対象となってしまうかもしれません。しかし、全金融財産である5,000万円すべてを信託口座に入れてしまうことは、親の心情として心細く不安なものであるはずです。そこに配慮する形をとるために、500万円だけは親の自由になるよう信託財産から除くことにしました。

 

まとめ

親が高齢になるにつれ、その生活費を子が管理しなくてはならないときが近づいてきます。そのようなときに助けになるのが家族信託という方法です。一方、家族信託はそれ単体で完了するものではありません。父母のライフプランや家族関係の在り方、相続問題などさまざまなことを考慮する必要があるのです。だからこそ、ご家族だけで抱え込むのではなく、専門知識を持つ行政書士にぜひ一度ご相談ください。特に、親の認知判断能力が十分であるうちに進めなければいけない手続きですので、ご家族で当事務所までお越しいただくこともお勧めいたします。

 

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