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家族信託における「障害者の子供の親亡き後」に関する事例

親である自分に万が一のことがあり、子供だけが残されてしまう可能性は誰にでもあるといえます。そのようなシチュエーションを想定したとき、親が最も心配するのは残された子供の生活をどう守るかということでしょう。特に、子供が障害を抱えている場合はなおさら心配です。そこで活用したいのが家族信託による財産管理です。ここでは、親亡き後の障害を持つ子供をいかにして経済的に守るか、家族信託を利用した事例について説明します。

親亡き後も障害を持つ子供を守りたい親心とは

子供がいる親の懸念は、親亡き後の子供の生活をどう守ればいいかという点に集中します。特に子供が障害を持っている場合はその傾向が顕著だといえるでしょう。母子家庭ならさらに、子供の生活を守りたい責任感が強くなりやすいかもしれません。

 

例えば、シングルマザーとして三人の子供を育てており、子供のうち一人が障害を抱えていた場合について考えてみましょう。現在のところ母子は同居しているため問題はありませんが、母親としては自分が亡くなってしまったときのことを想像すると不安が押し寄せてきます。

 

三人の子供のうち長男はしっかり者で、障害を持つ娘のお世話をよく手伝ってくれていたこともあり、母親は自分に何かあったら長男に娘のことを託したいと考えています。三人の子供すべてに愛情を注いでいる親であっても、人の手を必要とする娘のことをどうにか守りたい心理が働くのです。

親亡き後に家族信託で障害を持つ子供に対応した事例

このようなケースもあります。50代の夫婦には二人の子供がおり、いずれも成人男子です。そのうち一人が精神的な重度障害を負っているため、成人といっても自活は難しい状態です。もう一人の子供はすでに結婚して家庭を持っていることから、障害を持つ方の子供の面倒は夫婦がずっとみてきました。

 

しかし、夫婦はすでに50代であり、そろそろ自分たちの老後や亡くなった後のことを考える年代でもあります。もし自分達夫婦が認知症になったり亡くなってしまったりした場合、重度障害を抱える息子の生活をどうやって守ればいいか悩んでいました

 

こういったケースを「親亡き後問題」と呼んでいます。夫婦は子供たちに財産を遺すことはできるものの、障害を持つ子供は継いだ財産を適切に管理できるとは限りません。したがって、財産を遺すだけではなく計画的に生活費として渡せるような仕組みを探す必要があります。独立した方の子供に障害を持つ子供の面倒をみるよう頼むことはできますが、その子供はすでに仕事や家庭を持っている立場であることから、あまり負担になるようなことはしたくないと夫婦は思っていました。

 

こういった親亡き後問題は決して簡単に解決できるものではありません。子供が二人いる場合、二人に平等に財産を相続させたいと考える一方、どうしても障害を持つ子供の方に手厚いサポートが必要になり不平等を招きかねないからです。

 

そこで夫婦が着目したのが、家族信託という方法でした。自分たち夫婦を委託者自立している子供を受託者として財産管理を任せ、夫婦が亡くなった後は受託者である子供が障害を持つ子供に定期的に生活費として金銭を渡していく方法を採ったのです。自立した方の子供にやや負担をかけてしまうことから、財産の相続割合を調整し総合的にフェアな状態になるよう工夫することもできました。

 

遺言書を用意するという方法もあった中であえて家族信託を選んだ理由は、夫婦が健在であるうちから意思を示すことができ、意思に基づいて生前・死後の対応が適切に行われるよう計画し実現することができるためです。信託契約の自由度の高さにより、遺言書に比べて柔軟な財産管理や相続を可能にすることができました。

家族信託の設計(スキーム)

本件における家族信託の設計は次のように整理することができます。夫婦は障害を持つ子供の将来に安心材料を得ながら、子供二人が平等に財産相続できるよう計らうことが可能になります。

 

 

夫婦は自ら委託者自立している方の子供を受託者として信託契約を結びます。夫婦が健在のうちは自らを受益者として財産管理を行いますが、亡くなった後は二人の子供が受益者となります。この際、子供たちが平等に財産相続できるよう指定する点がポイントです。障害を持つ子供については、自立している方の子供から生活費として毎月金銭を渡していくよう信託契約を結びます。

まとめ

障害を持つ子供がいる場合、親亡き後問題を解決する選択肢として遺言書や成年後見人の就任もあります。しかし、遺言書はあくまでも夫婦が亡くなった後を想定した方法ですし、成年後見人を建てた場合は、後見人本人自身の判断能力が衰えたときのリスクが存在します。これらのことを踏まえると、家族信託は非常に便が良く委託者の意思を最大限に反映できるベストな選択肢だといえるでしょう。

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