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家族信託における横領の不安に対し信託監督人をつけた事例

家族信託を活用する場合、委託者・受託者・受益者に役割を分けて信託契約を結ぶことになります。特に受託者は委託者の財産を託されることから、正しく忠実な財産管理を行うという重要な責任を負う立場にあるのです。ここでは、重要な責務を担う受託者による横領の可能性や対策について説明します。

家族信託では受託者による横領に注意

委託者は、基本的に自分が最も信用する相手を選んで受託者としての役割を任せるものです。横領しそうな人物を受託者にすることは、当初の段階では想定されていません。しかし、受託者の立場になってみれば、突然多額の財産を管理する立場になるのですから、出来心で金銭を使い込んでしまう可能性も決して否定できないでしょう。あるいは管理をきちんと行わなかったために、自分の財産と区別できなくなり、うっかり委託財産を使ってしまうこともあり得ます。

 

委託者は、「この人なら信頼できる」と考えて受託者を指名していますが、その相手は財産管理の専門家であるわけではありません。身内同士であったとしても、信頼できるかどうかという問題と適切に財産管理ができるかどうかという問題は別物なのです。そのようなケースに備えるために、信託監督人を別途指名することができるようになっているのです。

安心材料として信託監督人を指名する

家族信託契約を結ぶ背景事情として、受益者が高齢者だったり判断能力が十分ではなかったりする場合その人に代わって財産管理をする、という状況がよくあります。こういった場合、受益者自身が受託者の不正を防ぐよう監督することは難しいと考えられます。

 

このようなケースに備えて、信託法に基づき信託監督人を指名し、受託者を監督することができるようになっています。信託監督人は、信託契約の目的に沿って受託者の財産管理や処分といった行為が適切かどうか目を光らせる役割を担うのです。

 

なお、まだ胎児である孫など、まだこの世に存在していない人物を受益者とする場合は、信託管理人を指名することができます。この場合、信託管理人は、受益者に代わって受益者の権利に関わるさまざまな事柄を代理することが可能です。信託監督人や信託管理人として身内の者を指名することもできますが、身内は完全なる客観性を持たないため公平性に欠ける点があることは否めません。公平かつ正しく財産管理や権利行為を行うためには、完全なる第三者である行政書士などに依頼することをおすすめします。

家族信託における横領不安に対し信託監督人をつけた事例

信託契約を結んだ一方で、財産が適切に管理され不正が起こらないようにするために信託監督人をつけたケースについてみていきましょう。

 

家族は母親と長男、長女の3人で父はすでに他界しており、知的障害を持つ長女の面倒は母が主体となってみていました。他界した父が遺してくれた預貯金が十分にあるためしばらくの間は生活に困りません。

 

しかし、徐々に高齢になってきた母親は物忘れがひどくなってきており、このままでは特に知的障害を持つ長女の面倒をみることができなくなるのではないかと心配していました。母親は、自分が十分な判断能力を持っているうちに実家を売却し、そこで得た金銭で自らは施設に入り長女の生活費をまかなおうとしたのです。自分名義になっている財産を家族信託契約で管理することにより、知的障害を持つ長女に生活費をきちんと渡していける仕組みが必要だと考えたためです。

 

しかし、心配したのは長男の存在でした。兄妹仲は良いのですが、長男はやや財布の紐が緩い傾向があったのです。母親は、自分の判断能力や意思が明確であるうちはまだいいものの、もし認知症などになり症状が進んだときのことを考えると非常に不安に思いました。一般的に考えれば、委託者が母親で受託者が長男、受益者が母・長女となりますが、自らの不安を考慮すれば公平な第三者を介入させた方がいいと母親は考え、信託監督人をつけることにしたのです。

 

家族信託の設計(スキーム)

当事務所にご相談頂いた際、ご提案した家族信託の具体的な設計は以下の通りです。

 

 

委託者である母が健在のうちは受益者となり、夫が遺してくれた財産を管理し計画的に使っていきます。しかし、今後もし母親の判断能力が衰えるなどした場合、受託者を長男として母親に代わって財産管理を行ってもらうことにします。ただし、長男の金遣いに関する不安があることから、信託監督人として行政書士をおき、財産が適切に管理・使用されるようフォローすることになりました。

まとめ

以上のケースからいっても、もし受託者に横領の可能性が少しでもあるなら、行政書士などの公平な第三者に信託監督人を務めてもらうことがおすすめされます。そうすることで使い込みを防ぎ、管理がより厳格化されるからです。同様のお悩みやご心配を抱えておられる方には、ぜひ当事務所まで一度ご相談いただき、最適と思われる家族信託の在り方を一緒に考えてみましょう。

 

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