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任意後見契約における登記事項証明書の取得方法
任意後見契約公正証書を作成する際、嘱託により公証人が法務局で登記手続きを行います。ここでは、任意後見契約の登記事項の内容や登記事項証明書の取得方法などについて説明していきます。
任意後見契約公正証書に欠かせない登記の内容とは
任意後見契約公正証書を作成する場合、公証人が法務局で登記を行います。登記することにより、以下の証明が可能になる点に注目しましょう。
登記事項証明書に記載される事項
登記事項証明書を取得できるようになると、本人が任意後見人に付与した代理権の証明が可能になるため、以後さまざまな事務手続きを行ううえで、相手方にとって大きな安心材料となります。なお、後見登記に関する法律第5条に基づけば、以下の事項が登記されることになります。
(任意後見契約の登記)
第五条 任意後見契約の登記は、嘱託又は申請により、後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。
一 任意後見契約に係る公正証書を作成した公証人の氏名及び所属並びにその証書の番号及び作成の年月日
二 任意後見契約の委任者(以下「任意後見契約の本人」という。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)
三 任意後見受任者又は任意後見人の氏名又は名称及び住所
四 任意後見受任者又は任意後見人の代理権の範囲
五 数人の任意後見人が共同して代理権を行使すべきことを定めたときは、その定め
六 任意後見監督人が選任されたときは、その氏名又は名称及び住所並びにその選任の審判の確定の年月日
七 数人の任意後見監督人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
八 任意後見契約が終了したときは、その事由及び年月日
九 家事事件手続法第二百二十五条において準用する同法第百二十七条第一項の規定により任意後見人又は任意後見監督人の職務の執行を停止する審判前の保全処分がされたときは、その旨
十 前号に規定する規定により任意後見監督人の職務代行者を選任する審判前の保全処分がされたときは、その氏名又は名称及び住所
十一 登記番号
※e-Govより抜粋
記載事項は任意後見監督人が選任されるまでは、契約の効力がまだ発生していないため、「任意後見人」ではなく「任意後見受任者」という記載になります。任意後見監督人が選任されると任意後見受任者から任意後見人へと記載が変わり、任意後見監督人の情報も登記されます。
登記事項証明書の申請書類
本人の判断能力低下を機に家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立てがなされるとき、登記事項証明書の添付が必要になります。任意後見契約を確かに結んでいることの証明です。任意後見人は契約発効以後、本人に代わり各種の手続きを行うことになるので、登記事項証明書を取得しておき必要に応じて書類を提示しなければなりません。
法務局に対する申請書類
札幌法務局ホームページによれば、登記事項証明書の取得が可能な法務局として、札幌法務局に限らず全国の法務局や地方法務局戸籍課(東京法務局については後見登録課)を挙げています。なお、札幌法務局では登記事項証明書の発行のみを取り扱っており、登記事項の変更や終了といった事務は東京法務局の後見登録課による取り扱いとなることも記載されています。
任意後見人や任意後見監督人など、登記されている人物が申請する場合
- 本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
- 申請者が法人の場合はその代表者の資格を証する書面(発行から3ヶ月以内のもの)
- 手数料(印紙代550円分)
任意被後見人の配偶者または四親等内の親族が申請する場合
- 配偶者または四親等内の親族の本人確認書類(運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど)
- 戸籍謄本(申請者と任意被後見人との関係性がわかる対象分で発行から3ヶ月以内のもの)
- 手数料(印紙代550円分)
まとめ
任意後見に関する登記事項証明書の取得は、普段馴染みがないからこそ困惑したり不安になったりしがちです。しかし、申請自体は難しいものではありませんので、事前に法務局のホームページで確認したり当事務所にご相談いただいたりして準備を整え、申請を行うことをおすすめします。