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任意後見人の解任事由と解任手続きの流れ

本人が慎重に選んで決めたはずの任意後見人でも、その後やはり不適切な人選だったことに気がつくことがあります。何らかの理由により任意後見人が適任ではないと判断した場合、どうすればいいのでしょうか。ここでは、任意後見人を解任する理由と解任の手続きについて説明していきます

 

任意後見契約を終了させて後見人を解任する

任意後見人は、民法644条に基づく「受任者の注意義務」を果たす必要があり、また本人が認知症であるなど保護を必要とする場合は任意後見法6条に基づく「身上配慮義務」を負います。

 

(受任者の注意義務)

第六百四十四条 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。

※e-Govより抜粋

 

(本人の意思の尊重等)

第六条 任意後見人は、第二条第一号に規定する委託に係る事務(以下「任意後見人の事務」という。)を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。

※e-Govより抜粋

 

任意後見人がこれらの義務を正しく果たしていない場合、後に述べる解任事由が適用されることもあります。

 

任意後見人を解任するには契約を終了させる

任意後見人を解任するということは、当事者間で結んだ任意後見契約が不成立になることでもあります。したがって、任意後見契約を解除することにより任意後見人の任を解くことが可能です。

 

(任意後見人の解任)

第八条 任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の請求により、任意後見人を解任することができる。

※e-Govより抜粋

 

任意後見契約を解除する場合

任意後見契約を解除するためには、任意後見法9条に基づき、公証人の認証を得た書類手続きが必要になります。

 

(任意後見契約の解除)

第九条 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任される前においては、本人又は任意後見受任者は、いつでも、公証人の認証を受けた書面によって、任意後見契約を解除することができる。

2 第四条第一項の規定により任意後見監督人が選任された後においては、本人又は任意後見人は、正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、任意後見契約を解除することができる。

※e-Govより抜粋

 

任意後見人を解任するための条件

任意後見人を解任するためには、以下のうちいずれかに該当すると証明しなければなりません

 

1.不正行為

任意後見人が委任者の財産を指摘に流用したり横領したりした場合、不正行為とみなされ解任事由が成立します。

 

2. 著しい不行跡

任意後見人は、後見人として相応しい態度・行動をとる必要がありますが、特に品位に欠けるとみなされた場合は「不行跡」があったとして解任事由のひとつとなります。たとえば、財産管理や身上監護を適切に実行しなかった場合などがこれに当たります。

 

3. その他後見等の任務に適しない事由

本人のために任意後見人が本来行うべきことを遂行しなかったことで本人が不利益を被るケースを「後見業務の怠慢」といいます。また、家庭裁判所の求めに基づく必要書類作成や手続きを行わないことは「家庭裁判所の命令違反」に該当します。最もよくみられる例としては「被後見人との関係破たん」で、たとえば本人が任意後見人から虐待を受けているなど関係性が破たんしていると認められるケースを指します。これら3つを総称して「その他後見人等の任務に適しない事由」とよんでいます

 

まとめ

不正や関係性の破たんなど、解任事由に該当すると思われる事象があった場合は、証拠を確保し家庭裁判所に申立てを行います

 

申立書について、特定の書式が用意されているわけではないため、自分で内容を簡潔にまとめ証拠とともに裁判所に提出する必要があります。書面作成は適切に行われなければなりませんので、疑問などがあれば一度当事務所まで一度ご相談ください。

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