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任意後見契約の内容変更の可否と契約解除の方法

任意後見契約は締結から発効までに時間のブランクが生じやすいことから、途中で契約内容を変更したくなる可能性も出てきます。ここでは、任意後見契約の内容を変更の可否と契約解除の方法について説明していきます

 

任意後見契約の内容は変更できるのか

本人の判断能力に問題ない時点で任意後見契約を結び、判断能力が著しく低下した時点で任意後見監督人が選任されて契約発効となるまでには、一般的に長い時間がかかる傾向にあります。実際に契約発効となるまでの間に、やはり契約内容の一部を変更したい、といった希望が出てくることも考えられるでしょう

 

代理権の範囲を変更したい場合

契約当時から時間が経つうちに、代理権の範囲について本人が変更を望むようになった場合、以下の条件をもって変更が認められます

 

■代理権を追加したい

追加した部分について新しく任意後見契約を結ぶことにより、代理権を追加することができます。ただし、新規契約として公正証書を作成したのち登記を行い、本人の判断能力が低下した時点で家庭裁判所に任意後見監督人の選任申し立を行う流れを辿る必要があります。

 

■任意後見人や代理権の範囲を変更したい

この場合、変更自体は可能であるものの、既存契約の一部を変更することはできず、いったん契約を解除し内容を調整したうえで再び契約を行う必要があります

 

後見登記等に関する法律の第7条第1項によれば、以下の事柄に変更があった場合、変更の登記が必要になる旨が記載されています。

 

(変更の登記)

第七条 後見登記等ファイルの各記録(以下「登記記録」という。)に記録されている次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める事項に変更が生じたことを知ったときは、嘱託による登記がされる場合を除き、変更の登記を申請しなければならない。

一 第四条第一項第二号から第四号までに規定する者 同項各号に掲げる事項

 

(第四条第一項第二号から第四号)

第四条 後見、保佐又は補助(以下「後見等」と総称する。)の登記は、嘱託又は申請により、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。第九条において同じ。)をもって調製する後見登記等ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。

一 後見等の種別、開始の審判をした裁判所、その審判の事件の表示及び確定の年月日

二 成年被後見人、被保佐人又は被補助人(以下「成年被後見人等」と総称する。)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍(外国人にあっては、国籍)

三 成年後見人、保佐人又は補助人(以下「成年後見人等」と総称する。)の氏名又は名称及び住所

四 成年後見監督人、保佐監督人又は補助監督人(以下「成年後見監督人等」と総称する。)が選任されたときは、その氏名又は名称及び住所

五 保佐人又は補助人の同意を得ることを要する行為が定められたときは、その行為

六 保佐人又は補助人に代理権が付与されたときは、その代理権の範囲

七 数人の成年後見人等又は数人の成年後見監督人等が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め

八 後見等が終了したときは、その事由及び年月日

九 家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)第百二十七条第一項(同条第五項並びに同法第百三十五条及び第百四十四条において準用する場合を含む。)の規定により成年後見人等又は成年後見監督人等の職務の執行を停止する審判前の保全処分がされたときは、その旨

十 前号に規定する規定により成年後見人等又は成年後見監督人等の職務代行者を選任する審判前の保全処分がされたときは、その氏名又は名称及び住所

十一 登記番号
※e-Govより抜粋

 

上記を任意後見契約として考えた場合、「任意後見受任や任意後見監督人の変更」「代理権の範囲の変更」についての規定と捉えることができます。いずれについても、既存契約のなかで変更できるものではなく、あらためて契約し登記することが必要であることがわかります。

 

任意後見契約の解除の方法

任意後見人や代理権の範囲などについて変更したい場合、契約の一部を変更することはできず、新たな契約によって変更を実現しなければならないことがわかりました。新契約の締結に先だって、まずは旧契約を解除する必要がありますが、任意後見監督人の選任「」か「」かによって条件が変わってきます

 

任意後見監督人が選任される「前」の場合

任意後見監督人が選任される前の段階ということは、任意後見契約がまだ発効していない状態を指しています。このときの契約解除については以下のような考え方になります。

 

合意書を作成し公証人の認証を得て契約解除する。

 

双方合意による契約解除が困難なため、解除通知書を作成し公証人の認証を得たのち、相手に配達証明付き郵便として送り契約解除する。

 

任意後見監督人が選任された「後」の場合

任意後見監督人が選任された後であるということは、すでに任意後見契約が発効した状態であるということでもあります。

 

契約発効後は本人と任意後見人の意思だけで契約解除することはできず、家庭裁判所に相応の理由を認めてもらったうえで解除にいたります

 

なお、契約解除後は、契約が終了したことを登記する必要がありますので覚えておきましょう。

 

まとめ

任意後見契約は法律行為であり、慎重に契約内容を決定したり解除の際の条件を確認したりするなど、細かな確認や手続きが求められます。インターネットを使い自分で情報収集し任意後見契約の変更あるいは解除を行うことは不可能ではありませんが、専門的な分野でもあるため、不安や疑問に思うことがあればぜひ当事務所までご相談ください

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