fbpx

トップページ > 家族信託で内縁の妻に財産を残したい!生活保障の事例

家族信託で内縁の妻に財産を残したい!生活保障の事例

内縁とは、事実上夫婦と同じ関係性にあるものの入籍していない状態をいいます。高齢の夫婦でも内縁関係を持つ人は少なくありません。しかし、内縁関係は法的な権利を持たないため、将来的にどうすれば自分の財産を内縁の妻に継がせることができるか悩むケースが多々あります。ここでは、内縁の妻に財産を残しその生活を保障するために家族信託を活用した事例についてご紹介します。

 

法定相続人ではない内縁の妻に財産を残す難しさ

内縁関係の夫婦は、入籍をしていないことから法的な配偶者」としての立ち位置や権利を持つことができません。例えば、男性が内縁の妻に対して財産を残したいと思っても、内縁の妻は法定相続人ではないため財産を受け継ぐことができないのです。遺言書を残して内縁の妻に相続させるという方法もありますが、そうでなければ遺産分割協議により法定相続人が財産を分割することになってしまいます。

 

【法定相続人の範囲】

 

夫に入籍している妻と子供がいた場合、妻と子供が相続人になりますが、妻が内縁の場合は子供だけが相続の権利を持ちます。第三者にあたる内縁の妻が相続に加わった場合、法的に正式な妻でないにもかかわらず財産を受けることになり、遺産分割協議が混乱する可能性を考えてのことだといわれています。

 

ただし、事実上夫婦として暮らしてきた内縁の夫婦に財産相続を全く認めなければ、残された相手のその後の生活に大変な困難をもたらすことになりかねません。そこで活きてくるのが家族信託という方法なのです。実際に事例を挙げて説明します。

 

内縁の妻に財産を残し生活保障した事例

70歳の男性には60歳の内縁の妻がおり、子供はいません。男性は、もし自分に万が一のことがあったら内縁の妻にすべての財産を譲りたいと考えていました。しかし、内縁の妻は他に身よりもないことから、内縁の妻が亡くなったときには全財産を自治体に寄付することにしたのです。

 

そこで活用を検討したのが家族信託という方法でした。男性は信託銀行のもとを訪れ、家族信託について説明を受け以下の設計において信託契約を結ぶこととしました。

 

家族信託の設計(スキーム)

男性は、自分が亡くなった後は信頼している信託銀行を受託者として財産管理を依頼し、受益者を内縁の妻として毎月の生活費給付などを行うように指定しました。この際、内縁の妻も亡くなったときは信託契約を終了することとし、残った財産は居住する自治体の高齢者施設へ寄付する旨を明確にしたのです。本件の家族信託のスキームは以下の通りです。

 

※妻も亡くなった場合は財産を自治体に寄付する意向

 

今回は家族信託という方法を活用しましたが、もし遺言書を残していた場合はどうなっていたでしょうか。以下に想定される状況を説明します。

 

遺言書を残していた場合の弊害

もし男性が遺言書を残していなかった場合、相続権利を持たない内縁の妻には全く財産が分けられず、すべて男性の兄弟姉妹により相続されることになります。仮に、全財産を内縁の妻に遺贈する旨を遺言書に記した場合、内縁の妻の生活は安泰ですが、内縁の妻が亡くなった後に問題が発生します。

 

内縁の妻は身寄りがなく子供もいないことから、相続人がいない状態です。あらかじめ遺言書を作成し財産をどうしたいか意思表示をしておかない限り、内縁の妻の死後、財産は国庫に帰すことになってしまうのです。

 

このような状況を回避するためにも、家族信託を活用し、男性から始まる財産承継の流れをしっかり作っておくことが大切だといえるでしょう。

 

まとめ

いくら夫婦のていで互いに支え合って暮らしていたとしても、入籍していない以上は法的に婚姻関係があるとは見なされません。したがって相続権利も付与されないのです。遺言書を作成して財産を内縁者に継がせることはできますが、内縁の夫婦のいずれも亡くなった場合はそこで遺言書の効力は消滅することになります。

 

家族信託であれば、引き継ぎ先を明確にしておくことで遺言書のように効力がなくなることはありません。身寄りのない内縁の妻が亡くなった後は、あらかじめ財産をどのように扱って欲しいか指定しておけば希望が叶います。

 

内縁であることで財産相続問題は一気に難解さをみせますが、正しい方法を活用すれば心配する必要はありません。もし内縁の妻もしくは夫への財産相続でお困りの場合は、当事務所までご相談いただければしっかりとお話をうかがって解決策を提案いたします。ぜひ一度ご連絡いただけることをお待ちしております。

無料相談の予約はこちら