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一人暮らしの高齢者の見守り対策はどうする?生前対策と見守り契約の併用も
総務省の資料によれば、昭和50年における日本の三世代世帯は16.9%でしたが、令和3年にはその数値が4.9%にまで減少したことがわかっています。かつては世帯内で高齢者を見守る仕組みがあったところ、現在では一人暮らしの高齢者が増加し見守りに課題が生まれている状況だといえるのです。
【この記事の要点】
- 高齢者の一人暮らしに潜むリスク
- 札幌市による見守りサービス
- 札幌市の委託業者による見守りサービス
- 生前対策と見守り契約の併用
ここでは、一人暮らしの高齢者の見守り対策について説明していきます。高齢者が一人暮らしすることのデメリットを知り、自治体や民間による見守りサービスを積極的に活用することも検討してみましょう。
リスクが大きい「高齢者の一人暮らし」
高齢者の一人暮らしでは、すぐ近くに頼れる人がいないことも多く、次に挙げるようなリスクが認められます。これらの現状を理解し、本人がまだ元気なうちに何らかの対策を講じておくことが必要です。
高齢者の病気やケガの発見が遅れやすい
高齢になるとさまざまな疾病を抱えやすくなる傾向があり、持病や身体的困難を持つ人も少なくありません。特に心配なのは、転倒や熱中症など、普通に生活しているなかで起こり得る健康リスクです。一人暮らしでは、もし何か起きたとき周囲が迅速に対応することが難しく、状況が悪化する可能性も否めません。
認知症の進行に気付きにくい
普段から家族と生活している高齢者の場合、もし認知症を発症しても家族が異変に気付きやすいですが、一人暮らしの場合は周囲が病気の進行に気付きにくく、いざ認知症だとわかったときにはすでに病状が進行していることも考えられます。
本人による健康管理では行き届かない
家族と同居している場合、食生活から日常的な行動にいたるまで、助言を受けたりサポートしてもらったりすることができるかもしれません。しかし、一人暮らしでは「自分のことは自分で」管理するしかないため、気を付けなければ栄養状態が偏ってしまったりコミュニケーション不足で精神的に不安定になったり、あるいは運動能力が低下したりする可能性も否定できないでしょう。
高齢者を狙う犯罪に遭いやすい
昨今問題となっているのが、高齢者を狙った詐欺などの犯罪です。第三者との関わりが希薄になりがちな一人暮らしの高齢者は、コミュニケーションを求めていたりすぐに人を信じたりしてしまう傾向にあるといえます。そこに付け入る犯罪者は後を絶たず、結果として高齢者が被害を受けることになった事例は増えるばかりです。特に心配なのは、いわゆる特殊詐欺と呼ばれる犯罪で、被害者の多くを高齢者が占めていると言われています。
社会的に取り残され孤立死(孤独死)する可能性がある
同じ一人暮らしの高齢者でも、自ら活発に対人関係を持とうとする人や積極的に趣味を楽しんだりする人の場合、常に誰かと関わりを持っていますから、社会的に取り残されるということは少ないと考えられます。
一方、高齢になると社会との関わりを億劫に感じ、近所付き合いや趣味活動などを行わず、一人でいる時間が増える高齢者も少なくありません。結果として社会的に孤立した状況が生まれやすく、最悪のケースとして孤立死(孤独死)が起こることもあり得るのです。
札幌市による見守りサービスを活用
多くの自治体が高齢者の見守りサービスを行っていますが、札幌市でも同様にさまざまな団体がいろいろな活動を展開しています。市としては民生委員などによる独居老人宅の巡回を行ったり、札幌市内各区の社会福祉協議会が管轄する「福祉のまち推進センター」による活動が行われていたりします。
札幌市による「高齢者あんしんコール」事業
社会的に孤立しがちな高齢者は、ひとりで暮らすことに不安を覚えていることも珍しくありません。そこで札幌市は、専用の通報機器を高齢者に貸与し、以下の対応を行っています。
- 24時間の健康相談等
- 受信センターからの定期的な声かけ
- 急病などの緊急時における救急車の要請 など
福祉のまち推進センターの支援活動
福祉のまち推進センターで行われている活動のうち、高齢者の暮らしに直結するものとしては以下が挙げられます。
- 安否確認(点灯や消灯の確認など)
- 家事援助(洗濯や掃除など日常的な活動のサポート)
- 話し相手 など
また、高齢者が社会的に孤立しないよう、食事会やお楽しみ会なども開催しています。
札幌市が委託する民間事業者のサービスを活用
札幌市では、福祉活動の一環として、高齢者の見守りを民間事業者に委託しています。協定締結事業者は数多くありますが、よく知られたサービスを例として挙げてみましょう。
生活協同組合コープさっぽろ
夕食の配食サービスを通して、高齢者宅に郵便物が溜まっていないか、本人に異変がないか、食事がきちんと採れているかなどを確認します。また、宅配システム「トドック」を利用してもらうことで、カタログやインターネットを通して食材・日用品の注文を受け、高齢者宅を訪問しています。
株式会社エンパイアー
「エンパイアークリーニング」で知られる株式会社エンパイアーも札幌市と「見守りに関する協定」を結んでいます。同社の営業スタッフが日々の営業活動を通して高齢者宅を訪問し、異変に気が付いた場合は札幌市・各区役所に通報する仕組みを作っています。
株式会社セブン-イレブン・ジャパン
カタログから食事メニューを選んでもらいセブンイレブンが配達する「セブンミール」サービスを活用し、高齢者との関りを保っていきます。健康に配慮した食事を届けるとともに、高齢者の状態を見守り、異変に気が付いた場合は札幌市・各区役所に通報する仕組みを作っています。
日本郵便株式会社札幌市内郵便局
月に1度、高齢者宅を訪問し、その生活状況などを写真付きで報告先へ伝える「みまもり訪問サービス」を提供しています。また、高齢者宅へ毎日電話(自動音声)して体調確認を行い、その回答を報告先に伝える「みまもりでんわサービス」も展開しています。
任意後見契約・死後事務委任契約と見守り業務の併用も
もし、高齢者本人が「自分の将来のことは自分で備えておきたい」とお考えであれば、任意後見契約や死後事務委任契約などの生前対策と見守り契約を併用することもお勧めします。
当社では見守りサービスに対応しており、契約に基づく見守り事務を行います。具体的には以下の事柄を実施しご本人の状況把握に努めているのです。
- ご本人(委任者)への定期的な電話または訪問
- 生活状況や身辺状況の確認
- 定期的なコミュニケーションの確保
- 法的なアドバイスの実施 など
これらの見守り契約は、特に任意後見契約や死後事務委任契約と併用することで、より安心できる備えとして機能するでしょう。
任意後見契約と見守り契約を両方締結していた場合、委任者の判断能力が低下したことを受任者が気付きやすく、結果として任意後見監督人の選任手続きを適切なタイミングで行うことができあす。
死後事務委任契約と見守り契約を両方締結していた場合、見守り業務を通して受任者が委任者の状態を把握することができるだけでなく、双方がコミュニケーションを深めていくことで実際の死後事務に対する精神的・時間的余裕の確保に繋がります。
任意後見契約・死後事務委任契約とも関心が高い生前対策ですが、委任者となる高齢者については、自身の暮らしをより安心・安全なものにするためにも、見守り業務契約の利用を検討されることをお勧めいたします。
まとめ
一人暮らしをする高齢者の割合は年々増加傾向にあるとされています。家族などが身近にいれば安心して暮らすこともできますが、さまざまな事情から気軽に頼れる人がいない場合は、自分自身で対策を講じることも重要になってくるでしょう。
「自分で自分のリスク対策を行う」ことを前提として、自治体や民間業者の見守りサービスを利用したり、法的な生前対策を補う形で見守り契約を締結したりすることも大切です。
当社では、見守り契約を含む生前対策について豊富な経験を有しており、ご相談に対する適切な助言が可能です。法的な生前対策と見守り契約の併用について疑問や不安などがありましたら、初回無料相談をぜひご利用ください。