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家族信託と任意後見人制度は併用できる?違いについて解説

従来から利用されてきた任意後見人制度と、近年施行された家族信託は併用することができるのでしょうか。いずれも異なる性格をもっており、利用すべきシチュエーションも若干変わってくる点に注意が必要です。ここでは、家族信託と任意後見人制度の違いや併用できるかどうかについて説明していきます。

 

家族信託と任意後見人制度の違いとは

親の認知症対策や相続対策として活用できる点は共通していますが、家族信託と後見人制度には明確な違いがあります。

 

家族信託

自分の財産を託す相手を受託者といい、受託者は受益者のために託された財産を運用したり管理したりする使命をもちます。家族信託では、一般的に高齢の親を委託者、その子供を受託者とすることが多いといえます。親が認知症などになった場合、受託者である子供は、委託者兼受益者である親のために必要な金銭を給付したり財産を管理・処分したりすることになります。

 

受託者の選定は基本的に任意であるため、身内以外の親類や信頼できる第三者を使命することが可能です。また委託者の財産についてどの程度関与するかについても、委託者と受託者が交わす家族信託契約内で任意に設計することができます。ただし、委託者が認知症などになった場合、その身上監護を行う権限はもちませんので、親の認知機能がまだ十分であるうちに自ら財産の扱いについて決定したり高齢者施設に入所してもらったりするなどの措置が必要になります。

 

任意後見人制度

任意後見人制度は、親の認知機能や判断能力が著しく低下したときに備え、親の代理としてさまざまな行為ができる人を指名しておく仕組みをいいます。現時点では自分で考え決定することができるが将来の不安があるといった場合、任意後見人を誰にするか話し合って決めておき、その契約内容を公証人役場で交わしておくのです。

 

いざ本人が認知症などになった場合は、家庭裁判所に申し立て「任意後見監督人」を選任してもらいます。任意後見監督人は、話し合いで決めた任意後見人がその責務を果たしているか監督する立場にあるので、親の財産に対してダブルチェックができる構図ができあがります。

 

また、契約に基づき親の身上監護権を付与することも可能ですから、親が認知症などになったときには任意後見人が代わって法律行為を行使できるケースもあります。

 

家族信託と任意後見人制度の併用を検討すべき場合とは

それぞれ特徴がある家族信託と任意後見人制度ですが、異なる性格を補い合う形で併用することが可能です。例えば、高齢の母親がいる場合について考えてみましょう。任意後見人制度が適しているシチュエーションは以下のような状況であると考えられます。

 

 

こういった場合は任意後見人制度の併用を検討してみるといいでしょう。逆に、認知症などになった場合でも家族が協力することで乗り切れそうであれば、家族信託契約だけで十分かもしれません。

 

家族信託と後見人制度の目的は異なっている

先に述べたとおり、家族信託は将来的に委託者が認知症などになった場合に備えて現時点から準備しておくものとなります。任意後見人も現時点から行う契約になりますが、親の認知機能が著しく衰えたタイミングで裁判所に申し立てを行い、任意後見監督人を選任してもらい二人体制で親を守っていくものです。

 

つまり、家族信託も任意後見人も将来を見据えて現時点から行う対策であるという点で共通していますが、身上監護権の付与の可否や法的行為の代理権限の有無において決定的に異なっているといえます。

 

家族信託と任意後見人制度を併用した事例

家族信託と任意後見人制度には違いがある以上、併用することで互いの不足を補うことができるでしょう。例えば、次のような事例でとても効果的だといえます。

 

82歳の女性には障害をもつ61歳の娘がおり、これまでは女性が娘の世話をしながら過ごしてきました。しかし、物忘れがひどくなりはじめたため、万が一認知症などになった場合に備え、娘の生活を守るために対策を講じておこうと考えたのです。そこで、いろいろと世話を焼いてくれる甥に娘の今後を託すことにしました。女性の具体的な希望を整理してみましょう。

 

 

女性が委託者となって家族信託契約を交わすことにより、甥は女性の財産を希望通りに管理・運用していくことができます。一方、女性が認知症などになった場合に備えて予め任意見人制度を利用し身上監護権を付与する契約にしておけば、女性の入院や施設入所などの手続きを任せることができます。家族信託契約により女性の希望を細部まで反映させた状態を作りつつ、任意後見人制度を利用して女性の暮らし自体も守ることができるようになるのです。

 

まとめ

家族信託も任意後見人制度も、第三者に自分の今後を託すという意味では類似していますが、それぞれに特徴がありますし必ずしも併用が求められるものではありません。併用が必要かどうかの判断は、その家庭や委託者の状況により個々に変わってくるものなので、予め行政書士までご相談いただくことが大切です。ささいなことでも結構ですので、ぜひ一度ご連絡いただけることをお待ちしております。

 

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